大和総研
拡充すすむ大学の起業家教育

2006年3月15日

日本経済が長期低迷を余儀なくされた要因の一つとして、リスクを採って新規の事業に挑戦する、真の「起業家精神」の持ち主が少ないことが指摘されてきた。それに伴い、大学等教育機関における起業家教育の重要性がクローズ・アップされてきた。

今回大和総研では、全国の22大学にヒアリング調査、うち11校に訪問調査を実施し、日本の大学の起業家教育についての実像を調べた。単位の認定される講座、総計71講座のうち私立大学が70%、国立大学30%。筑波大学の調査では起業家教育やベンチャー論を標榜する講座は日本の大学の44%に導入されており、一般的になりつつある。

受講対象別の内訳を見ると、71講座中MBA52%、MOT20%、学部向け28%(重複含む)。近年増加するMBAスクールの授業として開講されたものが一番多く、MOT(技術経営)教育の授業として設定されたものもある。一方で、学部生向けに多様なキャリア形成を促すものや人格的な教育を目的とした講座も増えつつある。

教育手法としては、座学⇒ケーススタディ+グループ・ディスカッション⇒ビジネスプラン作成+プレゼンテーション(⇒演習・指導)という流れが一般的である。特に、ビジネスプラン作成は、起業を目指さない学生にとっても得るものが大きいと思われる。ビジネスチャンスがどこにあるか考えたり、事業の見通しを考え、説明したりするなどのプロセスは、いずれは経験しなければならないからである。

大学ごとの取り組みを見ると、以下の4大学の取り組みが目覚しい。教員の層と経験の蓄積が厚く、インキュベーション施設との連携が強い早稲田大学。湘南藤沢キャンパスの先取的な学風を生かし、人的資源のネットワーク化に努める慶應義塾大学。文理共通で多数の科目を設定するなど、先駆的な試みを打ち出す立命館大学。『社長を育てる大学院』を標榜する日本大学グローバル・ビジネス研究科、の4校である。

今後も起業家教育は拡充が進もう。コンプライアンスやガバナンスの問題もしっかり学習して、学生がベンチャー・ビジネスというものにより広い視野で臨む事を期待する。

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