データヘルス計画プロジェクト

健康保険組合を業務支援するための新たな試み

2013年6月14日、社会保険事業本部のミーティングルームはいつもとは違う空気に包まれていた。その日、安倍内閣の成長戦略である『日本再興戦略-JAPAN is BACK-』が閣議決定された。その中で“国民の健康寿命の延伸”が重要な柱として掲げられ、「予防・健康管理の推進に関する新たな仕組みづくり」として、すべての健康保険組合に対し、「データヘルス計画」の策定・実施が求められることになったのだ。
社会保険事業本部は、全国の健康保険組合向けに基幹システムを提供しており、特に「KOSMO-network21」は、全国1,400の健康保険組合のうち、約400組合に導入されている、業界シェアNo.1を誇るシステムだ。山崎は入社1年目からその開発に携わり、現在は営業担当として、知識もキャリアも十分だった。だが、「データヘルス計画」に対応して、顧客である健康保険組合に有効な実施プランを提案していくことは、まったく新しいチャレンジを意味していた。社会保険事業本部としては、山崎を中心に企画グループを編成し、この難問に挑むことになったのだった。

社会保険事業の変革の必要性を実感

山崎:この度の閣議決定に関しては、以前からそのような動きがあることは知っていましたし、営業担当ですからお客様からはいろいろな声が聞こえてきましたが、現実に決定するまで、我々としてはしばらく様子を見ようというスタンスでした。しかし、入社以来長く社会保険システムの業務に関わってきた経験上、少子高齢化による医療費の増加は日本社会の大きな問題であり、その解決には社会保険事業の変革が必要だということは、感じていました。「データヘルス計画」によって、そのソリューションが明確化・具体化するのなら、私たちとしても何とかして貢献すべきだと思いました。それに、開発から営業までを経験してきて、何か新しいミッションに取り組みたいと考えていたことも、このプロジェクトに対するモチベーションアップにつながりました。

大和総研ビジネス・イノベーションが外部専門事業者との一括交渉窓口に

山崎たちがまず着手したのは、顧客である健康保険組合に対する普及活動だった。組合側としては「データヘルス計画」が義務づけられることにより、不安に陥りやすい。それを払拭して「データヘルス計画」の必要性と大和総研ビジネス・イノベーションが提案する事業サービスの有用性をアピールするため、厚生労働省とも連携し、健康保険組合向けのフォーラムを2013年12月から3回にわたって開催した。
それと併行して、加入者の健康の維持・増進のための情報提供や健康保険組合のデータ分析を行う外部専門事業者について、どの事業者と連携すべきかの選定に取り組んだ。健康保険組合が外部専門事業者に業務委託する場合、1社1社と交渉しなければならず、どこが自組合のニーズにマッチしているかの判断が難しい。山崎たちはそこで、基幹システムベンダーとして健康保険組合の状況を熟知している大和総研ビジネス・イノベーションが一括窓口となり、外部専門事業者の選定支援を中立的立場からの提案を行う「データヘルス・コーディネート」、および外部専門事業者との間でセキュリティレベルの高いネットワークでデータをやり取りできる「データヘルス・プラットフォーム」の仕組みの構築を目指した。
外部専門事業者との連携によるサービス企画については、健康保険組合のニーズと事業者の提供サービスの調整に悪戦苦闘した。山崎たち企画担当と、入社7年目の麻田有里をはじめとする営業担当が、立場の違いからぶつかり合うこともしばしばあった。

チーム一体となって顧客ニーズに向き合うやりがいを感じられた

麻田:健康保険組合様にとっては、「データヘルス計画」に向け、そもそも何から、どのように着手すべきかの判断が難しいという健康保険組合様もいらっしゃいました。計画の策定から実施、効果検証まで、外部専門事業者とどう協力して進めるべきか、などのご相談も多く、健康保険組合様の現状や今後の方向性をヒアリングし、一緒に考えながらサポートをさせていただきました。次の段階として、どんなサービスを採用するかを検討する際には、組合様からの要望は実現が困難なものも含めて多様でしたが、営業担当としては各顧客にぴったりフィットしたプランを、価格面も含めて提案したいわけで、全体のバランスを考えたプランを推す企画担当とはぶつかる場面もよくありましたね。それでも、このプロジェクトでは、チーム一体となって顧客ニーズを目に見えない部分まで掘り下げていく面白さや、提案したサービスの採用が決定したときの達成感など、今までの業務にはないやりがいを実感することができました。

事業実施に向けて最適なサービスを提案

山崎たちは膨大な情報を整理し、健康保険組合のニーズと外部専門事業者のサービスラインナップとのマッチングを図っていった。健康保険組合、大和総研ビジネス・イノベーションにとってこのプロジェクトが新しい試みであるのと同様に、外部専門事業者も他業種企業との連携は初めてだった。それに加え、行政の方針が短期間で更新されていく複雑性もある中、山崎たちはひとつひとつの課題・問題をきめ細かくクリアしながら、中立的な立場からサービスプランを提案することに注力していった。
「データヘルス計画」は2014年度に計画策定、そして2015年4月より事業が実施される予定になっている。現在、山崎たちは健康保険組合の特徴にマッチしたプランを顧客ごとに提案している段階だ。4月以降は、実施される保健事業の効果について行政に報告する義務がある。健康保険組合からもさまざまな意見や要望が寄せられていて、外部専門事業者と何ができるかも考えていかなければならない。やるべきことは多く、本プロジェクトはまだ道半ばだと言える。しかし、この新しい取り組みへの挑戦は、大和総研ビジネス・イノベーションと山崎たちの未来にとって、大きな財産のひとつになっていくことは間違いないだろう。

何百万人もの健康増進に直結する責任は大きい

山崎:外部専門事業者に関する膨大な情報を整理していくと、段々と事業者の特徴が見えてきたんです。我々が事業者の情報を“見える化”することで、健康保険組合様で選択肢をしぼることが容易になりました。もちろん、それは大和総研ビジネス・イノベーションの基幹システムによって約400の健康保険組合様のデータが一元管理されているというメリットが大きく、他社ではこのようなプロジェクトは難しいでしょう。本プロジェクトを通して他社との差別化を図ることで、今後、新規クライアントの獲得にもプラスになるはずです。
「データヘルス計画」を実施する健康保険組合様の先には保険加入者の方々がいます。自分たちの作った商品が何百万人もの健康増進に直結して、日本の社会に影響を与えていると考えると、大きな責任とともにやりがいを日々実感しています。