前回のコラムでは、
「税制改正プロセスの改革のゆくえ」と題して、新しく誕生した民主党中心の連立政権が、税制改正プロセスの改革をどのように行うかについて述べた。ここで、大綱が発表されたため、改めて新しい試みについて振り返ってみたい。
旧政権での税制改正は、内閣総理大臣の諮問機関としての「政府税制調査会」が中長期的な視点から税制改正の方向性を提言するのに対し、与党税制調査会が次年度の具体的な税制改正内容及び税率等の詳細を決定するというプロセスを経ていた。
事実上の税制改正内容の決定は与党、特に自民党のごく一部の議員が行っていたといわれる。
しかし、従来のような税制改正プロセスでは、与党税制調査会、政府税制調査会等がバラバラに審議を行い、特に、与党税制調査会は不透明な形で政策決定を行い、既得権益の温床となっているとして、民主党は、政治主導の政策決定を行うとともに、政策決定のプロセスも透明化するため、党の税制調査会は廃止し、財務大臣の下に政治家をメンバーとする新たな政府税制調査会を設置し、政治家が責任を持って税制改正作業及び決定を行うプロセスを導入した。
そして、従来の政府税制調査会は廃止し、意見集約のプロセスは原則として公開された。
たしかに、税制調査会の審議の模様はインターネット中継によりリアルタイムで配信され、その議事録や資料も公表された。また、金融庁、経済産業省などが、税制改正要望を公募し、提出された税制改正要望のヒアリングを公開するなども行った。
このため、議論の透明化・可視化が進み、どのような議論が行われているのかが良く見えるようになったといえる。この点については、一定の評価ができるであろう。
しかし、透明化が進んだ分、利害調整が進まなかったようである。実際に当初の大綱の公表予定日は12月11日とされていたため、10日ほど公表が遅れたことになる。
最終的には、民主党のごく一部の議員の意見が反映された内容の要望がそのまま大綱に盛り込まれたとの指摘もある。これでは、旧政権のプロセスと同じ構造ではないかと言われても仕方ない。
国民の理解と納得を得ながら税制改正を行うという現政権の理念を実現するには、今回の税制改正プロセスの検証が必要なものと思われる。