ミャンマー資本市場の発展に向けて

ヤンゴン証券取引所の設立・開業及び株式取引の開始

2012年5月に調印した覚書に基づき、約2年半に亘ってミャンマー連邦共和国(以下、ミャンマー)政府と交渉及び協議を進めた後、2014年12月にミャンマー経済銀行、日本取引所グループ、大和総研の3社で「ヤンゴン証券取引所会社」設立に係る合弁契約を締結しました。さらにその1年後の2015年12月9日には、ヤンゴン証券取引所建物内にて開業式典を開催。式典には、ミャンマー側からはウ・ニャン・トゥン副大統領、ウ・ウィン・シェイン財務大臣、ウ・ミン・スウェヤンゴン地域首席大臣をはじめとする主要閣僚、日本側からは金融庁長官の森信親氏、在ミャンマー日本国大使の樋口建史氏といった閣僚級の要人など、そうそうたる面々が列席しました。そのほか各国の証券取引所関係者などを含めて総勢300名超が出席し、会場の至るスペースを埋め尽くすほどの盛況ぶりを見せ、成功裏に終えることができました。

開業式典記念集合写真

式典では、ウ・ウィン・シェイン財務大臣、金融庁・森長官、東京証券取引所・代表取締役社長の宮原幸一郎氏、大和証券グループ本社・代表執行役社長の日比野隆司氏がスピーチし、これまでの日緬官民一体となった協力体制への謝辞と今後の発展に向けた期待を述べました。また、ミャンマー経済銀行のウ・イン・ゾー・ミョー頭取と大和総研代表取締役社長の深井から、ウ・ニャン・トゥン副大統領、ウ・ウィン・シェイン財務大臣、金融庁・森長官に開業記念盾の贈呈も行われました。

FMI社上場記念打鐘写真

そして、開業式典から3ヵ月半の準備期間を経た2016年3月25日、記念すべき第1号銘柄であるFirst Myanmar Investment社の株式取引が開始されました。同社の株価は開始から3営業日連続でストップ高をつけ、各証券会社の店頭では売買注文や口座開設を目的とした個人投資家が行列をなして殺到するなど、これまたミャンマーでの株式取引に対する関心が想像以上に高いことを窺わせました。その後、5月20日にMyanmar Thilawa SEZ Holdings社、8月26日にはMyanmar Citizens Bank社が上場し、今後も順調に上場会社が増えていくことが期待されています。

※ 役職は式典当時(2015年12月9日)のものです。

IT分野における大和総研の貢献

ヤンゴン証券取引所システム構築

2016年3月、大和総研が構築に携わったヤンゴン証券取引所システムが稼働しました。大和総研では、2013年よりミャンマー向けの証券取引所システム構築プロジェクトに着手し、取引・清算・証券決済の処理をオールインワンのパッケージシステムとした新興国向け証券取引所システムを開発しました。また、システムの稼動に必要なデータセンター、ネットワークインフラ等のICT基盤の構築も同時並行で行ってきました。そして、2015年5月にミャンマー現地のデータセンターに取引所システムを搬入、ミャンマー国内に取引所ネットワークを敷設し、半年以上かけて稼働テストや現地証券会社5社とシステム接続テストを行い、システム稼動にあたっては、システム移行作業や取引開始のリハーサルを繰り返し、入念に準備を進め、2016年3月25日にヤンゴン証券取引所での取引を無事開始しました。

ミャンマー民間証券会社向けシステム

取引所システムと同様に、2016年3月にミャンマー民間証券会社向けシステムが稼働しました。証券会社で自前のシステム・ICT基盤を持たなくとも証券フロント・バックオフィス機能のサービス利用が可能な複数証券会社の共同利用型システムをASP方式で提供しています。ミャンマー現地の証券会社(Myanmar Securities Exchange Centre)で採用され、ヤンゴン証券取引所に接続し、2016年3月25日に取引を開始しました。

ミャンマー民間証券会社の写真

ミャンマー中央銀行基幹システム構築

2016年1月、大和総研が構築に携わったミャンマー中央銀行の基幹業務システムであるCBM-NETシステム(CBM Financial Network System)の引渡し式典が、同行にて開催されました。本プロジェクトは国際協力機構(JICA)による無償資金協力事業として実施されたもので、当社は2014年5月にこのシステムにおけるICT基盤の構築を受注し、2015年12月に構築を完了、2016年1月5日より稼働を開始しました。

CBM-NETシステムは、銀行間の資金決済、国債決済、担保管理等の機能を持ち、ミャンマー中央銀行と市中銀行(外国銀行を含む全38行)を専用回線で接続する、ミャンマー初の中央銀行基幹業務ITシステムです。このICT基盤は効率性と拡張性に優れ、日本でも多くの導入実績があるクラウド技術を用いて構築しました。引渡し式典の様子は現地メディアにも取り上げられ、ミャンマーの急速な経済発展を支える金融インフラの根幹として、このシステムへ大きな期待が寄せられている様子がうかがえました。

引渡し式典記念集合写真

ミャンマー資本市場の一層の発展へむけて ~ミャンマー債券市場育成への取り組み~

こうしたミャンマー資本市場育成に係る取り組みの一環で、大和総研は債券市場の育成も支援しています。これは、1997年に発生したアジア通貨危機の再発を防ぐ目的で、ASEAN(東南アジア諸国連合)10カ国に日中韓を加えたASEAN+3が2003年に発足させたアジア債券市場育成イニシアティブ(Asian Bond Markets Initiative、以下ABMI)の枠組みを通じて行っているものです。

ミーティング風景写真

アジア通貨危機により、アジア各国で自国通貨建て長期資金の重要性が広く浸透して以降、ABMIがアジア域内の債券市場を整備するために実施しているプログラムの1つに、各国への国別技術支援があります。大和総研は以前より、インドネシア共和国やフィリピン共和国などの国々に対し、コンサルタントとして技術支援を行ってきましたが、2011年からはミャンマーへの技術支援コンサルティングも開始しています。

これまでの活動では、現地の金融当局や金融機関との協議やディスカッションを通じた現状把握および課題整理、将来の市場整備・育成に向けたロードマップ作成支援、現地の政府機関や金融機関、会計事務所、教育機関などの関係者が出席する現地ワークショップ開催などを実施。国債発行方式の改善を図る取り組みにおいては、成果の一つとして2016年9月に中期国債の競争入札が開始されるなど、今後もミャンマー債券市場発展のために継続的な支援を行っていく予定です。

大和総研のミャンマーへの取り組み

ミャンマーの動き 大和総研の
取り組み
1996年 ミャンマーに証券市場を作ることを目的にミャンマー経済銀行と大和総研の合弁企業としてミャンマー初の証券取引センター(MSEC)を設立。大和総研から社長を派遣。
1996-
97年
MSECが2社の株式について売り出しと店頭売買を開始。
1997-
98年
アジア通貨危機をきっかけにミャンマー政府の証券市場育成の動きが停滞。 MSEC主導で証券取引法案を策定し、ミャンマー政府に提出。
2006年 証券市場育成の動きが再開、資本市場検討委員会設立。 2015年までの証券市場発展ロードマップ作成を支援。
2008年 資本市場検討委員会を引き継いだ資本市場開発委員会が活動開始。 資本市場開発委員会の主要メンバーとしてMSEC社員が参加。
2010年 大和の事業投資ガイドシリーズ「ミャンマー」を発刊。
2011年 3月、新内閣発足。民主化への改革が進展。

ABMI(アジア債券市場育成イニシアティブ)ミャンマーの債券市場発展に向けた技術支援プログラムでASEAN事務局より受託。

2012年

4月、補欠選挙で国民民主連盟(NLD)が圧勝、アウンサンスーチー氏も当選。

4月、管理変動相場制の導入を発表。

9月、内閣改造で10閣僚が交代。大統領府などの省庁改革を推進。

11月、外国投資法(1998年制定)改正。

2013年

1月、改正外国投資法の施行細則を公表。

7月、中央銀行法(1990年制定)改正。同法改正によりミャンマー中央銀行が財務省から独立。

7月、証券取引法制定。

2014年

1月、2014年度ASEAN議長国に任命。

8月、ミャンマー証券取引委員会が発足。

10月、外資銀行に営業免許交付。

11月、議長国としてASEAN首脳会議をネピドーにて開催。

2015年

11月、総選挙を実施。アウンサンスーチー議長率いるNLDが過半数の議席を獲得。

  • 2月、ミャンマーデータセンターが竣工。
  • 5月、ヤンゴン証券取引所から取引所システムの導入及び保守運用を受注。
  • 12月、MSECからミャンマー民間証券会社向けシステムのASPサービスを受注。
2016年

3月、NLDのティン・チョウ氏を大統領とする新政権が発足。

3月、ミャンマー初の証券取引所である「ヤンゴン証券取引所」で取引を開始。

※2016年11月更新

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