ミャンマー資本市場育成に向けて

ミャンマー連邦共和国における債券市場育成に向けた取り組み

1997年に発生したアジア通貨危機により、アジア各国で自国通貨建て長期資金の重要性が広く浸透しました。ASEAN(東南アジア諸国連合)10カ国に日中韓を加えたASEAN+3は、このアジア通貨危機の再発を防ぐ目的で、アジア債券市場育成イニシアティブ(Asian Bond Markets Initiative、以下ABMI)を2003年に発足。それ以降、アジア域内の債券市場を整備するため、さまざまなプログラムを実施してきました。

そのプログラムの1つに、各国への国別技術支援があります。大和総研はこれまで、インドネシア共和国やフィリピン共和国などの国々に対して、コンサルタントとして技術支援を行ってきました。また、2011年にはASEAN事務局からの指名により、ABMIの国別技術支援対象国に加わったミャンマー連邦共和国(以下、ミャンマー)への技術支援コンサルティングも開始しました。

ミャンマーにおいては、現地の金融当局や金融機関とのミーティングやディスカッションを通じて、ミャンマー債券市場を巡る現状把握および課題整理を行い、今後の債券市場整備・育成に向けたロードマップの作成を支援しました。これらの支援活動内容は、現地の政府機関や金融機関、会計事務所、教育機関などの関係者が出席する現地ワークショップ(全2回)において発表・共有されました。

ミャンマー証券取引所設立への参画

こうした取り組みを通じて債券市場の整備を続けてきたミャンマーは、2015年に証券取引所の開設を決定。2012年5月29日、東京証券取引所代表取締役社長の斉藤惇氏、ミャンマー中央銀行総裁のウ・タン・ニェイン氏、大和総研代表取締役社長の深井は、ミャンマーの首都ネーピードーで証券取引所設立および資本市場育成支援に関する覚書に調印しました。今回の覚書調印によって、大和総研は東京証券取引所とともに、証券取引所設立および資本市場育成という国家プロジェクトに参画しました。

調印式には、ミャンマー側からウ・ラ・トゥン財政歳入大臣、ウ・セット・アウン大統領経済顧問、ウ・チョウ・サン・ミン内務副大臣をはじめとする閣僚級の面々が列席したほか、駐ミャンマー大使の齊藤隆志氏と国際協力機構(JICA)ヤンゴン事務所の齋藤次席も出席しました。

調印式で、ウ・ラ・トゥン財政歳入大臣は、ミャンマーの国家政策として2015年に証券取引所を開設することを説明。当社の16年に及ぶ支援への謝辞とともに今回の覚書締結に対する期待を述べました。

東京証券取引所・代表取締役社長の斉藤惇氏は、経済発展に資する証券取引所の重要性を主張するともに、財務省総合政策研究所も証券法制整備支援を予定していることに言及。「オールジャパン」の体制でミャンマーの資本市場開発に取り組む姿勢であることを明言しました。

大和総研代表取締役社長・深井は、証券取引所に上場する企業や上場企業株式を売買する投資家、上場企業と投資家をつなぐ証券会社の育成も、証券取引所を機能させるためには重要であると主張。当社が資本市場育成に向けて幅広く貢献していくことを強調しました。

  • 役職は調印式当時(2012年5月29日)のものです。

覚書舞台裏

今回の覚書締結にいたる以前、ミャンマーにおける証券取引所設立および資本市場育成を巡っては、複数の国の証券取引所がミャンマーに支援を提案していました。

その中で、ミャンマー政府が大和総研をはじめとする日本勢を協力パートナーとして選んだのは、1996年から現地で活動するミャンマー証券取引センター(大和総研とミャンマー経済銀行の合弁で設立)の存在が大きかったといえます。加えて、大和総研と東京証券取引所の持つ高いノウハウ、財務省や外務省、JICAをはじめとする日本政府からも協力を得た、「オールジャパン」での資本市場開発支援体制が、高い評価につながりました。

ミャンマー中央銀行へ同国初のクラウド型コンピュータ環境の導入

ミャンマー資本市場の発展には、これを支える金融ICTインフラの整備が必要不可欠です。大和総研は、その先駆けとなる取り組みとして、富士通、KDDIと共同で、ミャンマー中央銀行に同国初のクラウド型コンピュータ環境を構築しました。

このコンピュータ環境には、大和総研が主導するアライアンスクラウド推進ソサエティ(GAV)の設計・構築・運用手法に準拠したプライベートクラウド基盤と、大和証券グループで豊富な活用実績があるデスクトップ仮想化ソリューション「THiNC」が採用されています。

ミャンマー中央銀行では、これまで業務の多くを手作業で行っていました。このコンピュータ環境の導入は、ミャンマー中央銀行の大幅な業務効率化と高度なセキュリティレベルを実現し、迅速かつ安定的な金融政策の運営へとつながるものです。

大和総研のミャンマーへの取り組み

ミャンマーの動き 大和総研の
取り組み
1996年 ミャンマーに証券市場を作ることを目的にミャンマー経済銀行と大和総研の合弁企業としてミャンマー初の証券取引センター(MSEC)を設立。大和総研から社長を派遣。
1996-
97年
MSECが2社の株式について売り出しと店頭売買を開始。
1997-
98年
アジア通貨危機をきっかけにミャンマー政府の証券市場育成の動きが停滞。 MSEC主導で証券取引法案を策定し、ミャンマー政府に提出。
2006年 証券市場育成の動きが再開、資本市場検討委員会設立。 2015年までの証券市場発展ロードマップ作成を支援。
2008年 資本市場検討委員会を引き継いだ資本市場開発委員会が活動開始。 資本市場開発委員会の主要メンバーとしてMSEC社員が参加。
2010年 大和の事業投資ガイドシリーズ「ミャンマー」を発刊。
2011年 3月、新内閣発足。民主化への改革が進展。

ABMI(アジア債券市場育成イニシアティブ)ミャンマーの債券市場発展に向けた技術支援プログラムでASEAN事務局より受託。

2012年

4月、補欠選挙で国民民主連盟(NLD)が圧勝、アウンサンスーチー氏も当選。

4月、管理変動相場制の導入を発表。

9月、内閣改造で10閣僚が交代。大統領府などの省庁改革を推進。

11月、外国投資法(1998年制定)改正。

2013年

1月、改正外国投資法の施行細則を公表。

7月、中央銀行法(1990年制定)改正。同法改正によりミャンマー中央銀行が財務省から独立。

7月、証券取引法制定。

2014年

1月、2014年度ASEAN議長国に任命。

10月、外資銀行に営業免許交付。

11月、議長国としてASEAN首脳会議をネピドーにて開催。

※2014年12月更新

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