女性活躍の秘訣 ~"かわいい子には旅をさせよ!"~

2016年3月10日

1985年、女性活躍の大きな契機となった「男女雇用機会均等法」が成立(72年に制定された勤労婦人福祉法を改正)、86年に施行された。今年で施行後30年が経過した。男女雇用機会均等法はその後何度か改正されるなど制度面の後押しもあり、この30年間で女性の就業者数は大幅に増加した。総務省の労働力調査によると、労働力人口における就業者数は男性が86年3,526万人→2015年3,622万人と100万人程度増加した一方、女性は同2,327万人→同2,754万人へと、男性の4倍強にあたる427万人も増加した。明らかに景色が変わっている。

入社試験の際の様子を聞くと、多くの企業の方々が、「圧倒的に女子学生の方が優秀だ」とか「女性には優秀な人が多い」といった大変ポジティブなコメントをされるのをこの数年伺ってきた。同じ女性として大変嬉しい限りであるが、入社何年後かの様子を聞くと必ずしも芳しくない。「女性は伸びていない」とか「管理職を目指さない」といったネガティブな評価も一部聞こえてくる。なぜこのような評価になってしまうのか。大変不可思議な現象である。

もしかすると、入社当時の“優秀さ”がかえってアダになってしまっているのかもしれない。“優秀”の意味は即戦力としても通用する、ということも意味している。入社当初から一定のスキルを備えていると評価されると、そのスキルがすぐに使えるような部署に配属されてしまうことが多い。配属当初からそのスキルを活かし、メキメキと頭角を現すことで、結果として“その道のプロ”化し、仕事がかえって専門的になってしまっているのではないだろうか。つまりローテーションが一般的な男性社員よりも少ないことがその原因の一つになっているのではないだろうか。筆者の仮説である。

実は、似たような経験を持つ知人がいる。英語はもとより、大学4年間で中国語をマスターし、そうした語学をスキルとしてアピールした才女である。様々な企業からの誘いのうち、ある金融機関を選択して就職したが、入社当初より中国語を使う部署に配属となり、その後長きにわたりそうした関係の部署に留まることになった。その後社内結婚し、退社したが、彼女曰く“中国語のスキルが邪魔をした。本当はいろいろな部署をもっと経験したかった”とのことであった。率直に言って、彼女は中国語のスキルがなくても非常に優秀な人材であった。

一般的に、「優秀なスキルは是非早く戦力として活用したい」というのは上司の本音である。前述の語学に限らず、現有部署において足りないスキルがあれば、新人でもなんでも投入したいというのは無理からぬ話ではある。さらに、その新人が成果を出せばなおさらその判断は良かったということになる。そして、本来であればいろいろな部署の経験をすべき期間に専門的な仕事を続けさせてしまうことが、その新人の成長の障害になる、つまり圧倒的な経験不足になるということなど思いもよらないことなのかもしれない。このようにみると、入社何年後かの女性社員に対する評価の真因はこういうところにあるのではないか。

企業は今後も採用時においてダイバーシティ採用を増やしていくことになるだろう。従来の日本人の男性社員が大勢を占めていた時代は変わりつつある。最初のダイバーシティとして取り組んでいるのが、女性社員の登用ということであるが、前述のような育て方では、結果として企業全体のダイバーシティ経営には繋がっていかない。入社時の専門性に期待するよりも、むしろ大いにローテーションを経験させ、世界を広げてもらうことで、その専門性と相乗効果を持たせることに取り組むべきではないか。

女性活躍の秘訣は、“かわいい子には旅をさせよ!”である。旅から学べることは無限にある。

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