200万人と2000万人とオリンピックレガシー

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2015年11月26日

  • マネジメントコンサルティング部 主任コンサルタント 柳澤 大貴

最近気になった数字を取り上げてみた。10月31日にミラノ国際博覧会が幕を閉じたが、JETRO(日本貿易振興機構)の発表によると日本館の来客数は200万人。開催期間は184日であるから、1日当たり約1万人が入館した計算になる。1年間に換算すると365万人で、上野動物園の年間来場者数に近い数字だ。しかも場所はイタリアのミラノである。外国人はもちろん、多くのイタリア人が足を運んだことが容易に想像できる。しかも行列を嫌うといわれるイタリア人が、数時間待ちにもかかわらず入館したということは驚きである。

もう一つの気になる数字が来日外国人観光客数である。JNTO(日本政府観光局)の9月末の集計が1,448万人であるから、これも1年間に換算すると約2,000万人になる。2020年東京オリンピック・パラリンピックまでに2,000万人が目標であったが、前倒しの達成が期待され2020年には3,000万人ともいわれるほどである。

ミラノ国際博覧会のテーマの1つが「食」であった。また日本旅行業協会の調査結果によると、来日外国人観光客の楽しみの1つが食事であり、常に上位にランキングされている。和食は2013年にユネスコ無形文化遺産に登録され、地球規模で認知されつつある。外食企業の海外出店が進む一方、やはり日本に行って食べてみたいという人が増えることを期待したい。国立社会保障・人口問題研究所の予測によると日本の人口は2010年の1億2,800万人から2030年には1億1,600万人に減少する。1年当たり約60万人の減少である。もし、外国人観光客が年間3,000万人来日し10日間の滞在と仮定すれば、年間で平均82万人(3,000万人×10日÷365日)が増える計算となり、これは国内の1年当たり人口減少分の需要を補って余りある数字だ。安定的かつ長期的に外国人観光客を獲得することは、オリンピックレガシーの大きな成果の1つと言えるのではないだろうか。

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柳澤 大貴
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マネジメントコンサルティング部

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