日本人が親しみを感じない国

2014年3月27日

  • 調査本部 主席研究員 市川 正樹

最近、中国・韓国との関係悪化が報道などで取り上げられることがますます多くなっている。外交評論家などの解説は、専門的かつ多面的で必ずしも簡単ではない。しかし、一般国民に、親しみを感じるか感じないかを国・地域ごとに聞いた世論調査は、報道などを通じて形成された日本人の全般的な感覚がひとつの数字で如実に表れ、案外、二国間関係を示す簡単なバロメーターになるかもしれない。一般国民の意識は、投票行動を通じて結局、政策に繋がるものでもある。下図は、その世論調査の主な結果の推移を、日中韓の名目GDPとともに見たものである。

これまで圧倒的に日本人が親しみを感じてこなかったのはロシアであり、8割程度がそうである。「臥薪嘗胆」と日露戦争、第二次大戦終戦時の突然の参戦、北方領土問題、独裁政治などからであろう。1989年のベルリンの壁崩壊後に一旦少し下がったが、数年の間に元に戻っている。最近低下傾向を見せ始めているが、好感度が上がったと思われるソチ・オリンピックの一方、ウクライナ・クリミア問題の深刻化もあり、それらが今後どう影響するか注目されよう。

2012年からロシアを抜いて親しみを感じない国トップとなったのは中国である。国交正常化後の友好ムードを経て1980年代中ごろまでは、アメリカと並ぶ低水準であった。それが天安門事件の頃にかなり悪化し、その後は横ばい傾向が続いていた。2000年代に入り、名目GDPが急激に上昇するとともに親しみを感じない人も増加傾向に転じ、名目GDPで日本を追い抜いてからは、一層悪化した。日本の国民はGDPで追い抜かれたからといって親しみを感じなくなるとは考えにくく、経済力の拡大を背景にした中国側の強気の対日姿勢などを反映したものかもしれない。

韓国は、かつては軍事政権下での人権問題などのイメージからか、ロシアほどではないものの中国やアメリカに比べ親しみを感じない人が多く、半数はそうであった。その後、民主化等に加え、韓流ブームなどもありどんどん減少していたもののやがて止まり、2012年には劇的に悪化した。朴・現大統領就任前であることに留意すべきであろう。現在は、図にはないがインドや東南アジア諸国を追い抜き、日本人が親しみを感じない国第3位である。この間、名目GDPの拡大ペースは中国はもちろん、日本に比べてもはかばかしくない。国民の眼をこうした国内経済状況の悪さから国外の「悪者」日本にそらせようとしている、アメリカ追従から経済力・軍事力を増した中国への追従に転換、米中二軸外交・二股外交、など様々な見方が出されている。

一方、アメリカに親しみを感じない人は2割程度と一番低い水準で推移し、近年は更に低下し1割台となっている。図にはないものの、ヨーロッパ諸国、東南アジア諸国、インドとも最近は低下しており、親しみを感じない人は2013年で、それぞれ30%、35%、48%である。ロシアも最近は低下している。このように、中韓二国の悪化とは逆に、他の国は改善している。ちなみに、北朝鮮については、親しみを感じるか否かを聞いても意味がないと考えられたためか、どのような問題に関心があるかなどを聞いており、2013年では拉致問題、核問題、ミサイル問題への関心が高い。

なお、年齢別に見ると、韓国は中高年が親しみを感じない人の割合が高い一方、インドなどは若年が高い。男女別では、韓国は韓流ブームの名残もあってか女性は低い。一方、インド、東南アジア、などは女性が高い。なお、男女・年齢を問わず、親しみを感じない人が多いのは中国とロシアである。

また、以上は「親しみを感じない」と「どちらかというと親しみを感じない」の合計であるが、「親しみを感じない」に限定すれば、2013年には多い方から中国45.1%、韓国26.4%、ロシア25.1%、インド17.6%、東南アジア諸国12.4%、ヨーロッパ諸国9.7%、アメリカ5.1%となり、中国が飛びぬけて高くなり、韓国はそれほどではないものの第2位となる。ロシアはかなり低くなる。

世界経済はますます相互依存が進んでいるとともに軍拡競争は民生を圧迫するため、政治的・外交的な対立激化は避けるべきなどということは、もはや繰り返すまでもない。未来志向で平和な関係を目指して欲しいものである。

日本人が親しみを感じない国

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