真夏の"駆け込み需要"

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2013年08月19日

  • 齋藤 勉

記録的な猛暑が続いている。高知県の四万十市では全国の観測史上最高である41.0℃を記録した。東京でも最低気温が30℃を超す日があるなど、非常に暑い、過ごしにくい日が続いている。

こうも暑いとついついコンビニに駆け込んでアイスや飲み物を買いたくなる。気付くと毎日のようにアイスを食べている気もするが、こうした傾向は筆者だけでなく全国的に見られるようだ。8月の最高気温と、「アイスクリーム・シャーベット」の消費金額には、きれいな相関関係が見られる(総務省、気象庁統計の2000年~2012年データを基に算出(以下同様)。)。夏の最高気温が1℃上がると、アイスの消費金額が4%程度増加するのである。

消費税増税の駆け込み需要の行方も気になるところであるが、こうした猛暑による(コンビニ等への)駆け込み需要も、個人消費の動向に大きな影響を与えているのである。

夏暑ければ暑いほど売れるものとしては、他にビールやジュースなどが挙げられるが、意外な商品としては梅干しがある。梅干しにはクエン酸や食塩が豊富に含まれていることから、夏バテ予防に良いとされている他、弁当の腐敗防止に役立つため、消費が増えるのかもしれない。

一方で、夏暑いと売れないものとしては、コーヒーや緑茶などが挙げられる。暑さに負けて冷たい飲み物を飲んだ分、ホットコーヒーや熱い緑茶を飲む量が減るのだろう。

意外な商品としては、みその消費が減少する。8月の最高気温との相関係数は-0.88と、強い負の相関が見られる。詳しいことはよくわからないが、暑いと食卓に味噌汁が姿を現す回数が減るということなのだろう。その証拠になるかどうかはわからないが、油揚げ・がんもどきの消費金額に関しても、夏の最高気温とは負の相関関係が見られる。

暑いと売れる商品、売れなくなる商品はこのように様々あるが、過去の傾向を見ると夏暑い程、マクロで見た消費金額は増加する傾向にある。簡単に試算すると、最高気温が1℃上がると、8月の消費金額は1,300億円程度増加する。

暦の上では既に秋になっているが、暑さは弱まる兆しを見せない。当面、厳しい日差しが、各種小売店への“駆け込み”を促す季節が続きそうである。

図表 1 8月の最高気温と8月の消費金額(アイス、みそ)

図表 2 8月の最高気温(前年差)と8月の消費金額(前年比)の相関係数

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