持株会社化の検討とガバナンス設計

RSS

2012年09月04日

  • マネジメントコンサルティング部 主席コンサルタント 弘中 秀之
事業の拡大期や経営統合を行う際に用いられる組織形態として持株会社体制があるが、そのオペレテーティングには、持株会社化検討段階におけるグループガバナンスの設計が重要となる。


グループガバナンスに関しては、昨今課題を抱える会社も多く、不祥事に起因し内部統制報告書において「開示すべき重要な不備」を認めた企業も散見される。
持株会社体制への移行後に、このような問題が起きないようにするためにも、持株会社化の検討にあたっては、しっかりとガバナンスの設計図を描いておく必要がある。


ガバナンスの設計図を描くにあたっては、分権型、集権型いずれのガバナンス方針を採用するのか、採用したガバナンス方針の下に、どのような職務をどこまで分権化するのか、また、集権化するのかを項目ごとに具体的に整理していく必要がある。


グループガバナンスを設計するにあたっては、ガバナンスの要となる(1)財務面、(2)人事面、(3)戦略面、(4)監査面といった事項から整理していくとわかりやすい。


各事項をもう少し具体的にみると、(1)財務面からは、資本出資や配当、資金調達等を決定する権限、(2)人事面からは、社長・役員人事、従業員人事等を決定する権限、(3)戦略面からは、中期経営計画、年度計画・予算等を承認する権限、(4)監査面からは、グループ監査、リスクマネジメントを主導する権限等の項目があげられる。


これらガバナンスの要となる事項を持株会社化の検討段階でしっかりと設計し、関係会社規程、職務権限規程、職務権限表、内部監査規程、経営指導契約等で明文化し、それらを遵守させる体制を整えることが重要である。


事業拡大とガバナンス構築は、車の両輪として、方向性とスピードを合わせ整備していくことが、経営の効率性の面からも求められる。そのためには、何より設計図が大切となる。


今年は2012年8月末までに9社が持株会社体制に移行し、今後、持株会社体制へ移行することを21社が公表している(筆者調べ)。また、現在持株会社化を検討している会社も多いことと思われる。持株会社化の検討にあたっては、収支や手続面など様々な事項を整理していく必要があるが、ガバナンス設計の優先順位を落としてはならない。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

弘中 秀之
執筆者紹介

マネジメントコンサルティング部

主席コンサルタント 弘中 秀之