未来を創造する

2012年8月14日

  • 経営コンサルティング部 池田太郎
最近、自社の将来像を描き、長期ビジョンを策定したいという相談を受けることが多くなってきている。それも10年どころか20年、30年先をターゲットとしたものである。その背景の一つに経営環境の大きな変化、不確実性の高まりへの対応が挙げられる。例えば、欧州発金融不安などの経済的事象や天災など企業経営に大きな影響を与える事象が次々と生じている。さらにわが国においては人口減少、少子高齢化という長期的なマイナス要因が懸念されている。こうした中で、中長期的な様々なトレンドを念頭に置きつつ、主体性を持って経営の方向性を決め、ぶれない経営をしていこうという経営者が増えつつあるということではないかと思われる。

正直、将来のことをすべて予想することは難しい。しかし、5年から10年先であれば、国家戦略におけるロードマップや実現可能性の高い10年単位での大規模公共事業(鉄道、高速道路、空港など社会インフラ)に代表される様々な計画が参考になり、さらに技術動向についても開発ロードマップをみればある程度予想は可能だ。10年前に現在の状況を全く予想できなかったかというと、必ずしもそうとは言えまい。1990年代終わりのインターネット普及期において、「IT革命」が本当に起きるのか懐疑的な声も少なからず聞かれたが、15年ほどたった今、当時の予想はまさに現実となっている。

これが20年、30年先となると、人口動向予測のように、比較的確度の高い予測データはわずかにあるものの、経営者が参考にできるような客観的な予測データも様々なロードマップもほとんど存在せず、予想は極めて困難である。30年後にこの世にいるかどうかわからない私の世代にとっては、とてつもなく遠い将来のように思えるが、22歳の新入社員にとって20年後はまだ42歳。30年後でもまだ52歳と現役バリバリであり、キャリアプランを立てる際には当然このくらい先についても考えるであろう。こうしたことからすれば、30年後も彼らが社員として活躍できるような会社であり続けるための礎を築くべく、長期ビジョンを策定しておきたいと経営者が考えるのは、ごく自然なことであるように思われる。

予想が困難となると、ある程度予想が可能な10年後を出発点として、あとは想像力を働かせるしかない。そして、自分たちの特徴、強みを生かして社会にどのように貢献できるかということを出発点に、「こうありたい」、「こうしたい」という意思を具体的に明確にすることに力点が置かれるようになる。『未来は予想するものではなく、自ら創造するものである』、という心意気で将来像を考えるのである。そして、ありたい姿と現状のギャップを分析し、実現のための具体的な戦略を策定していくことになる。「IT革命」もそうであったが、短期的にはうまくいかないことも多いかもしれないが、強い意思をもって実現しようと努力していれば、長期的に見れば実現することが少なくない。

私達シンクタンクに所属するコンサルタントにできることは、将来情報や長期ビジョンを導き出すロジック・方法論・ツールを提供するのみならず、情熱をもって顧客の未来を共に考え、想像力を働かせるきっかけやヒント、視点を示し、漠然とした「ありたい姿」、「夢」を検討メンバーから引き出し、客観的に論点を整理し、経営の道標としてまとめあげること。私はそう考えて、これからも日々顧客と未来について熱く議論を戦わせていきたい。

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