新公益法人制度で求められるガバナンスとアカウンタビリティ

2012年8月2日

  • ビジネスサポート室 市川拓也
新しい公益法人制度がスタートしてから、この8月で3年と9ヶ月目に入った。特例民法法人(旧公益法人)による新制度への移行申請件数(公益法人への移行認定申請数と一般法人への移行認可申請数の合計)は累計10,121件(※1)(平成24年6月末現在)となり、1万件の大台に乗せた。平成23年6月末時点の移行申請件数が同3,241件であったことから比べると、この1年間で約3倍に増加したことになる。

このように申請件数は大幅な増加がみてとれるが、一方で移行期間中の全体の進捗状況としては依然として遅れているとの見方もできる。移行期限まで残りわずか1年5か月であるのに対して、移行期間開始当初の特例民法法人数である24,317法人の半数に達していない。仮にすべての法人が申請するとすれば、残り14,000強もの法人がこのわずかな期間に集中して申請を行うことになる。特に事業年度を4月~翌年3月とする法人にとって、来年4月1日は登記日を年度当初とする最後のチャンスであるから、これを狙った申請が今後、年末にかけて急激に増加することが予想される。

移行後の新制度が従来の制度と異なる点として、象徴的といえるのが主務官庁制の廃止である。従来は主務官庁が法人の設立を許可し、指導監督を行うことで事業の公益性と法人運営の健全性が担保されるしくみであった(十分発揮できていなかった点も今般の改革の要因となっている)。新制度では主務官庁制は採らず、法令等に基づき法人自らガバナンスを働かせ、ステークホルダーに対してしっかりとした説明責任を果たすことを求めている。

移行を行う法人にとって、一連の申請作業は大きな負担となる。申請法人は内閣府公益認定等委員会(または地方の審議会)が認定・認可の判断に資するべく、膨大な申請書類に、事業内容はもちろん、各種指標を計算した上で事業の公益性や財務状況等について細かく記載する必要がある。しかも、これから申請を進めようという法人は、時間的な制約などから、負担は一層大きなものになろう。ただし、これらの作業は国民に、事業の公益性や法人運営について理解を得るためのものであり、移行後に求められる様々なステークホルダーに対する説明と質的に同じである。新制度で求められるアカウンタビリティを果たすための第一歩であると捉え、申請作業に前向きに取り組むことが肝要である。

(※1)内閣府「新公益法人制度における全国申請状況(速報版)」

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