日本の輸出シェアが下がりすぎている

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2011年06月23日

  • 小林 卓典
下のグラフは世界の輸出総額における各国のシェアを表している。2001年にWTOに加盟した中国のシェア拡大が目覚しい。韓国もまだ水準は低いがコンスタントにシェアを高めている。日米独はいずれもシェアを低下させているが、ドイツの低下はマイルドで、一方、日米が顕著に低下している。ただし図中のピークからの低下幅は日本の方が米国よりも大きい。

これを見る限り、日本の製造業、あるいはモノ造りの地盤沈下は深刻である。もちろん日本企業の海外生産は増えているので、輸出シェアの低下は必ずしも製造業の弱体化を意味しないという見方もあるだろう。しかし企業の海外進出、グローバル化、多国籍化は他国の企業にも共通することだから、日本のシェア低下がやはり目立つのである。

この流れを止めるためには、法人税率、為替相場、自由貿易協定の推進など、製造業の競争力につながる条件を、他国と同等とは言わないまでも、ハンデをできるだけ少なくするように政策努力でサポートすることが重要だ。

ずいぶん昔から、日本は脱工業化すべきとか、輸出依存から脱することが課題であるとか言われてきた。今のところ、それはあまり望ましくない形で現実のものとなりつつあるようである。

世界の輸出における各国のシェア

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