家庭やオフィスでIT思想の省エネを

2011年5月10日

先日、省エネ教育の専門家のお話を伺う機会を得た(※1) 。巷では今夏以降の電力不足に備え、さまざまな省エネ・節電対策が紹介されている(※2) が、この専門家のお話から、筆者はITシステムの構築や運用を連想した。

【オフィス】若い人など代謝が活発で暑がりな人は空調の吹き出し口のそばの席に、寒がりな人は風があたらず陽の差す窓際の席に、など、個人差にあった配置にできれば、生産性を落とさない省エネになるそうだ。

クールビズ実施でも寒さを感じている筆者には、ありがたい方法である。冷たい空気と暖かい空気を分けて管理する配置はデータセンターでいう「コールドアイルとホットアイルの分離(※3)、空気の流れの制御」と同じである。

照明ではタスク・アンビエント照明(※4)という方法がある。LEDスタンド等、手元に低消費電力の灯りを設置し、天井の照明は暗くする(消す)ことで、トータルで省エネになるが業務に支障はない環境にする。

これは、サーバ仮想化(※5)で、必要なリソースを必要な場所に適時割り当てるようなイメージと重なる。

【家庭】冷蔵庫のすぐ隣にガスレンジのような熱を発するものがある場合は、冷蔵庫の効率が下がるそうだ。最近では床暖房が台所にも設置されていて、冷蔵庫に影響していることもあるという。

こうした構造の台所の場合、入居後に対処することは難しい。水周りや家事動線と同じように、台所や家を設計する段階から、エネルギー効率という新しい評価軸をあてる必要がでてきたのである。数年前、グリーンITという言葉が出てきたが、これも低炭素・省エネという評価軸を「ITを作る時」と「ITを使う時」に適用しようという考え方である(※6)

ただし導入した時点で省エネでも、将来にわたって効果が持続するとは限らない。オフィスであれば人事異動や使用機器の変化がある。家庭も、家族構成・生活パターンの変化や居住者の高齢化によって望ましい環境は変わってくる。ここ数年話題のクラウドコンピューティングは、変化に対して迅速に対応できることやピーク時に合わせた過大なリソースを用意しないで済むことを特徴としている。IT業界には、「後々のメンテナンスのしやすさ」「効率的なリソース活用」「リスクと対策の費用対効果」などの「思想」がある(はずである)。この思想は他の業界や家庭の省エネにも有効だろう。

(※1)大和証券グループ本社の「対話で考えるCSR」で、(株)環境エネルギー総合研究所代表 大庭 みゆき氏と大和証券グループ本社 河口真理子広報部CSR担当部長の対談を傍聴した。この模様は5月下旬に大和証券グループ本社webサイトで公開される予定である。
(※2)経済産業省「節電 ‐電力消費をおさえるには‐」  / 環境省「みんなで節電アクション!」
(※3)サーバが熱くならず、かつ、データセンター全体を冷やしすぎないよう効率的な空調管理をするための方法。サーバの吸引する冷たい空気と排熱により暖められた空気を分けるために、ラックやサーバの配置、仕切りを工夫する。
(※4)省エネルギーセンター用語集「タスク・アンビエント照明方式
(※5)1つのサーバ上に仮想的に複数のOSやアプリケーションを稼働させる方法。ニーズに応じてサーバリソースを配分するため、システム構築に柔軟性が生まれる。
(※6)環境用語解説「グリーンIT」  

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