産業のコメは半導体、ビタミンはレアメタル、ではマメは?

2011年2月28日

答えは、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電気機械システム)である。センサー、高周波スイッチ、プリンタのノズル、電子ペーパーなどに使われている。マメと呼ばれるのは「体は小さいものの、MEMSを組み込んだ製品に素晴らしい効用・機能を与える活力源となっていることに由来(※1) 」するそうである。世界の市場規模は、2009年の約4,900億円から、2020年には1兆円を超えるという予測が出ている(※2)

筆者が特に注目しているのがセンサーで、古くはユビキタスコンピューティング、最近ではIoT(Internet of Things:モノのインターネット)と言われる、「いつでも・どこでも・何にでもコンピュータにつながる世界」の必須アイテムである。ゲーム機の三次元加速度センサーは端末を持つ腕の動きを検出して、あたかもラケットを振るかのような動きが再現される。携帯電話には地磁気センサーを利用した電子コンパス機能がついているものがある。また橋やトンネルなどの設備にセンサーをつけた遠隔管理、畑や牛などにつけた肥料の管理・追跡管理なども可能になる。花粉や降雨量の観察の精緻化、自動車の安全走行・燃費向上、医療・介護分野での活用も期待される(図表)。スマートグリッド・スマートコミュニティの実現においても、なくてはならない技術である(※3)

あらゆるモノにセンサーをつける時の課題の一つが電源である。充電式では使用時間や大きさに制約ができてしまう。この解決策として期待されるのがエネルギー・ハーベスティング、環境発電であり、これもMEMSの一種である。人の動き(振動・熱)や、光・電波など周りの環境から微小なエネルギーを「収穫(ハーベスティング)」して、センサーなどの機器が利用できるような電力に変える技術のことである。JR東日本の実験で有名になった発電床も、その一つである。圧電素子を使って、人が床を踏んだ時のエネルギーから発電している。こうした技術は日本のお家芸と思っていたが、エネルギー・ハーベスティングの実用化については、国の支援が手厚かった欧米の方が進んでいるそうだ(※4) 。しかし筆者は希望を持っている。2010年のCEATEC(IT・エレクトロニクス総合展)では、食べても問題ないくらい安全な素材で作ったセンサーが参考展示されていた。小さくて高性能という基本機能にプラスして、安全で長持ちし、かつ普通の材料から作れる環境負荷の小さいMEMSは日本が主導するだろう。太陽光発電のように直接的、かつ大容量に化石エネルギーの使用を減らすものではないが、前述したような場面で使われることで、社会的課題の解決に貢献するだろう、と。

(※1)BEANSプロジェクト「BEANSとは」なおNEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)では「マメの主成分であるたんぱく質が、生物の体においては目や耳などの感覚器官や筋肉など、あらゆる情報を認識し、行動を起こす器官を構成する主成分でもあり、そうした体内における働きがMEMSの機能そのものに当たるから」としている。「よくわかる!技術解説-MEMS」
(※2)富士キメラ総研2011.1.25プレスリリース「世界のMEMS市場の調査を実施
(※3)経済産業省「技術戦略マップ2010」MEMS分野
(※4)データリソース社 竹内敬治「ユビキタスネット向けエネルギー源研究の最前線(2)

図表 MEMSの活用イメージ
(図1)現在の応用分野


(図2)将来の活用イメージ


(図1)NEDO「よくわかる!技術解説-MEMS」
(図2)経済産業省「技術戦略マップ2010」のMEMS/BEANSプロジェクト(異分野融合型次世代デバイス製造技術開発プロジェクト)のパンフレット・「BEANSとは」・「MEMSフロンティアとしてのナノ・バイオとの融合による未来デバイス技術に関する調査研究報告書-要旨-」を参考に大和総研作成

 

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