冬のニューヨーク

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2011年02月09日

  • 奥谷 貴彦
冬のニューヨークは寒い。

ニューヨークと北海道は緯度がほぼ同じなので、当たり前といえばそれまでなのだが、特にオフィスのあるウォール街周辺では、海岸からの冷たい海風にビル風が混じり、ミッドタウンなどの都心と比較すると、体感温度が違う、骨身にしみるような寒さである。

雪が降った朝は、ミッドタウンなどの都心では除雪がされている。しかし、都心から離れ、下町に近づくにつれて除雪がされてないところが目立つ。先日、友人は下町の車道でスキーをしている人を見たそうである。20センチ程は積もるので、スキーには十分な積雪量だろう。

また東京とは違い、雪が降るとニューヨークの地下鉄は麻痺する。構内アナウンス等も無く、突然運休されることもあるので、冬の地下鉄はあまり信用できない。冬のニューヨークでは、スキーで通勤するほうが無難だろう。そんな冗談が言える程の雪と寒さに耐えられないニューヨーカーは多く、週末にマイアミやカリブ海に出かける人もいる。

ニューヨークが氷点下5度の日に、同じアメリカ合衆国のマイアミは25度であったりするので、アメリカは広い国だと実感する。日本の沖縄も暖かく、人も温かいが、マイアミの方が気温が高い。

マイアミは避寒地として有名で、華やかなエンターテイメントやホテルなどが充実しているが、退職者の隠居先としても有名である。医療・福祉サービスが充実していることが、隠居先として支持される理由となっているようである。もちろん貧乏であればマイアミでの悠々自適の生活は難しい。中流階級以上の退職者が多く、資産家が多く集まっているとされる。そのためマイアミは資産運用業が発達していると言われている。

話は日本に戻り、沖縄は退職者から隠居先として支持されているという点で、マイアミと似ているだろう。しかし、資産運用業が発達しているような印象は受けない。アメリカと比較すると、日本では公的年金が整備されており、保有資産の運用益で豊かな老後を暮らすという発想が、退職者世代に広く受け入れられていないからであろうか。

日本において、貯蓄から投資への流れは今後も続くと言われている。しかし、アメリカと比較すると、日本では個人金融資産のうち、依然として現金と預金の比率が高い。退職者世代への投資教育は今後も重要な課題とされている。

日本の積もりに積もった金融資産の雪解けも間近であって欲しい。

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