グループ法人課税制度

2010年5月18日

  • 事業戦略コンサルティング部 間所健司
企業会計が個別会計から連結会計へ、経営も連結経営へと変わる中、税制においても企業グループを重視した制度改正が行われてきた。2001年には企業再編税制が創設され、翌2002年には連結納税制度が創設された。その後、連結納税付加税の廃止や企業再編税制の改正などを経て、今年2010年にはグループ法人課税制度が創設される。

大きな目玉は、100%グループ内法人間取引における損益調整が可能となったことである。具体的には、100%グループ内の法人間であれば、一定の資産の譲渡損益が繰延べられることになる。これにより100%グループ内における土地や有価証券の移動は、グループ外に移転されるときまで課税が繰り延べられることから、100%グループ会社内であれば、グループ内における資源配分を課税関係に考慮することなく、適切かつ迅速に行うことができるようになる。

これまでの連結納税制度は経営者側としては、色々と使いづらい面を有していたが、この法人課税制度においては幾分か改善されているようである。

例えば、子会社が保有する株式(孫会社株式など、売買目的の有価証券は除かれる)を帳簿価額で親会社に移転することができる。また、適格現物分配の創設により、子会社が保有する孫会社の株式をすべて現物配当として、親会社に配当することで、孫会社を子会社とすることが非課税でできる。このように100%グループ内における事業の組み換えが容易になることは、グループ経営を見直そうとしている会社にとってはメリットが大きい。

さらに、無対価の組織再編についても明確になり、グループ内再編もしやすくなると考えられる。ただしグループ内の寄付金との関係ははっきりしていないようにも思える。100%グループ内の寄付金については、支払う側は全額損金不算入、受け入れ側は全額益金不算入と処理されることとなる

このグループ法人課税制度により、100%グループ内であれば、経営資源を機動的に配置できることになる。これを受けて、わが国のグループ経営において、100%子会社化、100%グループ化の動きも強まるのではないかと考えられる。

これら制度を積極的に活用することで、グループ経営における効率化、集約化に向けたグループ内再編が加速されることを望みたい。

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