地方自治体の公金運用について

2010年3月10日

  • 公共政策研究所 宇野健司
地方自治体の公金運用は、「安全かつ有利」が基本である。「安全」なだけ、「有利」なだけ、では適切でない。つまり、「(1)安全性が確保されるかどうか、情報を収集し、しっかり検討した上で」、「(2)その中から一番有利な公金の運用先を選定する」という作業が必要となる。

具体的には、預金する場合は、自己資本比率・不良債権比率・業務純益など財務データに基づく「金融機関の健全性の評価」が必要であろう。一方、有価証券で運用する場合は、国債などを中心に「運用商品や運用期間の選択」が検討されることになる。

公金運用を実施する前に、これら一連の注意深い検証を行うことが公金管理担当者の任務であり、一般に「善管注意義務」(善良な管理者として職務上、細心の注意を払う義務)と呼ばれる。また、訴訟等のリスクを回避するためにも、上記の検討プロセスを何がしかの記録に残しておくべきだろう。

「善管注意義務」を果たすためには、一定の専門性が必要となるため、金融に精通した職員を育成していくべきだ。都道府県や政令市レベルでは、「公金管理委員会」などを組織し、場合によっては、外部の専門家を入れて、定期的に議論を行うべきであろう。筆者も、複数の地方自治体の外部委員を拝命しているが、最低でも年1回「公金管理委員会」を開催して、過去1年間の運用内容の確認と次年度の運用方針の検討を行うのは、「善管注意義務」を果たす上でも、非常に重要であると実感する。

また、都道府県レベルでは、「市町村課」などを通じ、当該都道府県下の市町村向けに、公金運用に関する情報提供を行い、出資法人など関連団体についても、同様に、指導・現状把握を行っておくべきだろう。

今後は、運用体制の充実のみならず、主体的な「情報開示」が求められてくるであろう。公金とは、そもそも住民からあずかっている住民のためのお金だからである。ホームページなどに、公金運用の方針・プロセス・成果などを、適宜、積極的に報告・説明・開示する必要がある。

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