進化するペット医療

2009年8月17日

  • 新規産業調査部 竹内慈実
近年ペットを単なる愛玩動物ではなく「パートナー」あるいは「コンパニオンアニマル(伴侶動物)」と捉え、生活において家族同然の重要な存在として接する飼育者が少なくない。このような環境の中、ペットにも人間と同様の高度かつ専門的な医療を望む飼育者が増加。各地で地元の一般動物病院と連携して二次医療(※1)を提供する民間の動物病院が相次ぎ開業している。

日本獣医師会会長の山根義久氏が首都圏の開業獣医師らと共同で設立した川崎市の「日本動物高度医療センター」(2007年6月に開業)や、関西地域の開業獣医師らの出資により設立された「ネオ・ベッツ」のVRセンター(2005年10月に開業)がその一例である。これらの施設は、脳神経科など複数の専門診療科を掲げている。院内には手術室や入院室などがあり、CT(※2)、MRI(※3)といった最新鋭の医療機器も備わっている。診療にあたるのは、専門領域に特化した熟練獣医師などで、一般の動物病院(一次診療)では実施困難な検査や治療を、地元の動物病院の紹介により行う。また、地域の動物病院などの協力を得て、夜間の救急診療も行っているケースが少なくない。

この他、CTやMRIを用いてペット(主に犬・猫)の詳細な検査のみを、地元の開業獣医師らの紹介を受けて行う高度画像診断施設もある。

最近では「ペットの老後ケア」にかかわるニーズも高まっているようで、ペット向けの介護・ウェルネス(健康)サービスを提供する企業も出現している。社会におけるヒューマン・アニマル・ボンド(人間と動物との絆)の浸透、ペットの長寿・高齢化の進展などにより、今後、飼育者のペットに対する健康・医療ニーズは拡大し、多様化・高度化していくことが見込まれる。これら飼育者の潜在ニーズをペット関連事業者が的確に捉え、新しいサービスを創造することができれば、ペット市場のさらなる拡大が見込めよう。

(※1)地域のかかりつけ医(一般動物病院)と連携し、「詳細な検査が必要」、「症状が重い」などの診断により、紹介されたペットに実施するより専門的かつ高度な医療

(※2)X線をあて水平方向に輪切りにした断面画像をコンピュータ上に展開する検査装置

(※3)磁場と電波を用いて体内などの画像を撮影する検査装置

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。

お気に入りへ登録

この記事を「お気に入りレポート」に登録しておくことができます。

このレポートのURLを転送する

  • @

最新コラム