情報爆発から知の爆発へ

2008年3月21日

  • 産業コンサルティング部 坪根直毅

人々が超小型カメラとメモリを搭載した機器を身に着け、一生のうちに見聞するすべての情報を記録するようになる。最近、このような近未来を舞台にした小説が出版された。小説のタイトルは「エクサバイト」(※1)である。1エクサバイトは1018バイトであり10億ギガバイトに相当する。現在でも、データベースやメールだけでなく、オフィスへの入退室履歴や電話の内容等を記録している企業は珍しくなく、前述の小説の世界もあながち想像の世界ではなくなりつつある。小説では、一生の間に見聞する情報は15テラバイト(=15万ギガバイト)のメモリに記録されるという設定になっているが、現実の世界では日々どれくらいのデータ生み出されているのだろうか。

カリフォルニア大学バークレー校の研究者が行った研究(※2)では、2002年の1年間で生み出されたデータは5エクサバイトと推測されている。その後、2007年3月にIDCがEMCをスポンサーとして行った調査(※3)によれば、2006年に全世界で生み出されたデータ量は161エクサバイトであり、この数字は毎年57%の割合で増加し2010年には988エクサバイトになる。IDCでは同様の調査を2008年3月にも行っているが(※4)、これによると2007年に生み出されたデータの量は281エクサバイトであり、2006年の予測をすでに10%ほど上回っている。データ量の増加に拍車がかかっていることになる。同調査では2011年には2006年の10倍のデータが生み出されると予測している。

日本国民が一人10ギガバイトの情報を蓄積していれば、全体で1エクサバイトとなる。PCに標準で数百ギガバイトのハードディスクが実装されている時代であることを考えれば、数百エクサバイトという数字にも納得がいく。このようなデータ量の増大はインターネットの普及と密接に関係している。総務省の試算によると、2007年11月時点の日本のブロードバンド契約者のトラヒック総量は平均で約800 Gbpsであり、2004年からの3年間で約2.5倍となっている。

このような現象を称して情報爆発といい、情報爆発時代に向けた情報基盤整備に関する研究も推進されつつある(※5)。情報爆発時代を生きる私たちとしては、このような基盤整備の研究成果に期待するとともに、公私にわたって知の蓄積・活用のために、情報爆発を知の爆発へと変えていく知恵が求められる。

(※1)『エクサバイト』 服部真澄 角川書店、2008年

(※2)『How Much Information? 2003 Lyman, Peter and Hal R. Varian

(※3)"The Expanding Digital Universe"March 2007,IDC

(※4)"The Diverse and Exploding Digital Universe"March 2008,IDC

(※5)『info-plosion 情報爆発』

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