第3の道

2007年5月28日

先日行なわれたフランスの大統領選挙では、第3の候補者の存在がクローズアップされ、決戦投票ではその票の行方が注目された。結局、与党候補のサルコジ氏が当選したのだが、新たに誕生する者がいれば去る者もいる。その4日後には、イギリスのブレア首相が6月下旬に辞任することを表明した。97年の総選挙で“ニューレーバー”を掲げて18年ぶりに勝利し、“第3の道”とも呼ばれる経済政策を推し進めてきた。この10年間、英経済が好調さを保つ一方、イラク戦争で躓き3期目の任期半ばで退陣するのである。

今夏から来年にかけては、日本の参議院選挙、豪の総選挙、ロシアの大統領選挙と政治イベントが続くが、最大の注目点は来年11月の米国の大統領選挙であろう。イラク戦争開始時に表舞台にいた政治家のほとんどが去っていくなかで、ブレア首相を盟友とするブッシュ米大統領はまだ一年半以上の任期を残している。取りを務める格好だが、自発的・非自発的を別にして、沈む船から逃げるが如く政権から人材が流出している。既に民主、共和両党とも大統領選挙の有力候補者が絞られた感はあるが、両党以外の第3の候補者が出てくれば少なからず影響を受けよう。過去にも、92年のペロー氏、2000年のネーダー氏が出馬したために、共和、民主それぞれが割を食った結果になったといわれている。

さて、米国経済に目を転じれば、昨年6月末に最後の利上げを実施してから11ヶ月間政策金利は据置かれたままである。一周年にあたる次回6/27-28のFOMCでも政策変更は見込まれていない。過去20年間を振り返ってみると、金融政策は、最後の利上げが実施されてから平均して約半年後には転換点をむかえた。つまり、Fedは金融緩和に転じたのだが、背景には、引締めがやや行き過ぎたために景気の足を引っ張り、当局が修正を迫られた可能性があるだろう。その意味では、過去に比べて、利上げ停止後の雇用の鈍化具合は緩やかであり、2004年半ばからの17回連続利上げは適正であったという評価もできる。

では、いつまで据置きが続くのか。市場では年内据置きという見方が増えており、5/25時点のFF金利先物市場は、年末までに25bpの利下げを50%織り込んだ水準まで後退している。エコノミストらによる金利予想(Blue Chip調査)でも、12/11のFOMCは据置きの5.25%が約半数を占め、5.00%が2割、5.50%、4.75%、4.50%がそれぞれ約10%と分布している。

そもそも、昨年6月の利上げ直後の調査では、約7割の人が年内の18回目の利上げを予想していた。しかし、年末にかけて、次の金融政策の一手は緩和か引締めかという質問に対して、緩和という回答が8割近くに増加し、そのうち約8割(つまり全体の6割)が2007年前半までにその時期が来ると予想した。結果として、この予想は外れたことになるが、一方で今年1月時点から5月時点まで、次の一手が“緩和予想7割-引締め予想3割”という関係はほとんど変わらず、根強い利下げ期待が残っている。結局、利上げ派、利下げ派ともにタイミングが後ズレし、これまで多数派にならなかった“年内据置き”が第3の選択肢として台頭しているのが現状である。

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