G-REIT誕生へ

2007年4月10日

3年に亘って検討されてきたドイツのREIT導入法案がようやく3月30日に成立した。2007年年初に遡及されて発効する。「G7で最後にREIT導入が決まった」とシュタインブリュック財務相はコメントしているが、このことは世界のおよそ20カ国で導入されているREITを早期に整備しなければという危機感が政府にあったことを示唆している。さもなければ、ドイツの不動産市場は活性化されず、投資資金が外国のREITに流れてしまうという危機感である。

ドイツでREITになるための主な要件は、(1)上場会社であること、(2)利益の90%以上を配当に回すこと、(3)資産の75%以上は不動産であること、(4)利益の75%以上が不動産投資からの利益であること、である。REITとなれば法人税と営業税が免除される。なお、上場企業であるため、浮動株比率15%以上(株式公開時は25%以上)、一株主の保有は10%未満などの規定も守る必要がある。

REIT導入で期待されるメリットは、まず、企業や地方自治体などが不動産資産を流動化させ、有効活用できるようになることである。これを促進するために優遇税制措置が導入され、2009年末までに保有不動産をREITに売却した場合、その売却益は50%が非課税となる。なお、この措置の適用条件として「当該不動産を10年以上保有していること」と昨年11月の閣議決定案では規定されていたが、議会審議の過程で「5年以上」へ条件が緩和されたことは朗報である。一方で、不動産業界が求めていた住宅不動産への投資制限は議会審議でも撤廃されず、REITが投資できる住宅不動産は2007年以降に開発されたもの、もしくは外国の住宅不動産という制限がついた。REITの投資対象となることで家賃が上昇することを懸念する賃貸者団体と与党SPD(社会民主党)左派からの強い反対があったためである。

ドイツのREITの時価総額予想は、2010年までに300億~1000億ユーロと非常に幅のある数字が出されている。2007年1月にREITを導入したイギリスでは、既に上場されていた不動産会社9社がREITに転換して、その時価総額は2007年3月末で662億ドルとなっている。しかし、ドイツでは住宅不動産への投資が制限されたこと、また2008年に法人税率を25%から15%に引き下げる計画があってREIT転換のメリットとデメリットを見極めようとする動きがあることから、不動産会社がまだREITへの転換に慎重姿勢である。また、REITの投資対象となるべき不動産資産の大半がこれから市場に出てくるため、市場規模の予想が難しくなっている。ただ、ドイツ経済は2006年は6年ぶりの高成長となり、オフィスの空室率もようやく低下傾向を見せ、不動産投資が活発になりつつある。IPO市場では不動産会社の上場が目立つ。市場育成に時間はかかりそうだが、REITへの注目度は高い。

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