トップの器

2006年2月13日

最近、企業や地方自治体の不祥事に絡んで、そのトップらが相次いで辞職している。当然ながら、いつまでもポストを空席にもできず、内部昇格や選挙によって埋められていく。このなかで話題性で群を抜くのが、宮崎県知事に当選した東国原英夫氏であろう。筆者は“ひがしこくばる”と読めなかったし、世間的にはタレントだった“そのまんま東”氏の方が、通りがいいはずだ。いまや、安倍首相よりメディアへの露出が多いかもしれない(さすがに、“熱湯コマーシャル”があったとしても、東国原知事は宣伝のために出演しないだろう)。過去にも東京都や大阪府にタレント出身の知事が誕生したことがあるが、いずれも参議院議員経験者である。その意味では、東国原知事は政治の素人という範疇に入り、47人の知事のなかではユニークな経歴といえよう。

全米50州の現役知事の経歴をみても、実業界、検事・弁護士、軍人などのキャリアから州・連邦議会や州政府高官などを経て、州知事になるケースがほとんどである。東国原知事と似たような経歴の持ち主といえば、俳優出身で、再選を果たしたシュワルツェネッガー・カリフォルニア州知事だけだろう。ただ、米国の場合は上手がいて、レーガン元大統領も、俳優出身でカリフォルニア州知事を経験している。しかし、オーストリア生まれのシュワちゃんの場合、合衆国憲法第二条第一節の五、“何人も、出生による合衆国市民あるいはこの憲法確定時に合衆国市民でなければ、大統領となることはできない。35歳に達しない者、また14年以上合衆国の住民でない者は、大統領となることはできない。”(在日米大使館のHPより)に抵触し、大統領には立候補できないのである。

この規定に合致する候補者によって争われる大統領選挙が、最終的な投票日は2008年11月4日(予定)と先なのだが、事実上始まっている。いつもよりもスケジュールが前倒し気味だが、ブッシュ大統領が三選できないことに加えて、現役の副大統領が早々に出馬の意思がないことを明らかにしたために、民主党だけでなく、与党・共和党からも立候補表明が相次いでいる。昨年11月の中間選挙で12年ぶりに上下両院を制した民主党への注目が高いが、各種世論調査で人気を集めているのが、ヒラリー・クリントン上院議員とバラク・オバマ上院議員である。前者が大統領になれば、女性初の大統領、夫婦で大統領(旦那はウィリアム・クリントン元大統領)になり、後者が当選すれば、初のアフリカ系の大統領である。

日本のメディアでは、ヒラリー・クリントン議員を“ヒラリー”とファーストネーム(名前)だけで呼ぶことが多い。元大統領と区別するためかもしれないが、彼女自身の選挙サイトをみても“Hillary”の文字が画面に踊っている。ただ、これは“晋三首相”と呼ぶようなもので、違和感を覚えてしまう。仮に彼女が当選すると、ブッシュ(41代、43代)親子とクリントン(42代、44代?)夫妻が交互に大統領職を務めることになる(さらに、彼女が再選すれば7期28年間に及ぶ)。世界的にみて政治家の世襲は珍しい話ではないが、民主主義を標榜する超大国のトップにしても、狭い世界で交代しているのが現実である。

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