参加のアーキテクチャ

2006年8月16日

「参加のアーキテクチャ」とは、ユーザーが無意識に、あるいは意識的に付加価値を付けるための仕組みのこと。「Web2.0(※1)」提唱者のティム・オライリーは、Web2.0を成す8つのパターンのうちの一つに、「参加のアーキテクチャ」による付加価値創造を挙げた。

Googleでは「検索する」、Amazonでは「購入する」というユーザーの行為が、各社のビジネスモデルの源泉となっている。Googleでは通常の検索結果とは別に、検索したキーワードに関連のある広告が「スポンサー」として表示される場合があり、ユーザーがこの広告をクリックした回数に応じてGoogleに収益が上がる。Amazonではユーザー全体の購買履歴を分析して、ユーザーの嗜好や購買行動に近い情報をお薦めの本として紹介し、クロスセルを狙っている。またユーザーが本の書評を書き込むことができる「カスタマーレビュー」は、他のユーザーが購入する際の判断に利用されている。

どのサービスも、ユーザーが利用すればするほどサービスの質が良くなる。「サービスを利用しているだけで有用なデータが蓄積される」「ユーザーが参加したくなる」「ユーザー同士が相互作用を起こす」ための、ユーザーを巻き込む「参加のアーキテクチャ」を提供し、ユーザーに価値をつくってもらうのである。

この考え方から、ユーザーの参加意欲は高くとも趣味などの個人的な集まりが多いSNS(※2)、個人の日記が多かったブログ(※3)などを、ビジネスに利用する動きが出ている。

~ビジネスでの利用例~
[ユーザーの声を生かす]
社員や関係者の書く企業ブログに書き込まれた、ユーザーのコメントやトラックバック(※4)を参考にして製品開発などに生かす。ファンクラブ的なSNSを提供し、ユーザーの声を拾う

[ユーザー同士で助け合う]
製品の使い方などのQ&Aを、ユーザーコミュニティーとして提供する。質問者も回答者もユーザーである

[信頼性を確保する]
知り合いの方が信頼度が高いことから、SNS内でECやオークションサービスを提供する

[社内の情報を共有・活性化する]
社員ブログやプロジェクトごとのSNSで、「Know Who」の透明化、部門横断的な情報共有を実現する

(※1)ドットコムバブルを生き延びた企業やサービスの共通項を見つけ、次世代のWebとして定義したもの。
(※2)ソーシャル・ネットワーキング・サービスの略。紹介制会員型コミュニティー。
(※3)ウェブログの略。テキスト形式で簡単に作成できる日記風のホームページ。
(※4)相手のブログにリンクを張ったことを通知する仕組みのこと。一般的には、相手のブログにも自分のブログへのリンクが自動的に張られるので、双方向リンクとなる。

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