私立学校法改正

2005年3月16日

  • 資本市場調査部 内藤武史

「私立学校法の一部を改正する法律」が来る4月1日より施行される。今回の改正は、少子高齢化、国立大学の法人化、グローバル競争化等を背景とした競争激化の中で、学校法人が経営強化・ガバナンス改革を実現していくための法制面での環境整備が最大の目的と考えられる。改正のポイントは、主に、理事制度・監事制度の整備・改善、および財務情報の公開である。

理事制度の整備・改善としては以下の三点が挙げられる。第一に、現行法では理事会の設置が義務づけられていなかったのに対して、改正法では理事会が法律上明確に位置づけられることとなった。第二に、現在は理事全員が有している代表権が改正法では実質的に理事長1人に集中することになり、民間企業のようなトップマネジメントによる意思決定が遂行しやすい体制が実現される。第三に、コーポーレート・ガバナンスにおける社外取締役に該当する外部理事の導入が義務づけられた。

さらに、評議員会制度の改善の中で、学校法人の意思決定の最高機関は評議員会ではなく、理事会にあることを示唆することで、理事会の権限をより一層明確にしている。

監事制度の整備・改善としては、第一に、監査報告書の作成・提出の責任を新たに規定し、監査責任者としての監事の地位を明確化したことが挙げられる。第二に、外部理事と同様、外部監事を導入することが義務づけられた。会計監査の専門性を追求するとともに、前述のコーポーレート・ガバナンスにおける社外監査役のコンセプトの導入だろう。第三に、評議員との兼任が排除されることとなった。これは監事の独立性を高め、より公正な監査体制を構築していくことが目的とみられる。

財務情報の公開の目的は、積極的なディスクロージャー(情報開示)によって、学校法人が公共性の高い法人としてのアカウンタビリティー(説明責任)を果たしていくことである。具体的には、現行法で義務づけられている財務書類の作成及び事務所への備え置きに加えて、それらの書類の関係者への閲覧を義務づけている。但し、関係者とあるように、当該学校法人の在学生や利害関係者のみが対象であって、不特定多数ではない。この点については、積極的なディスクロージャーという観点からすれば、インターネットの活用などは時代の流れに適合した望ましい対応といえよう。同時に、近年クローズアップされてきているUSR(大学の社会的責任)のコンセプトにも合致しよう。

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