高速道路夜間割引の効果

2004年12月16日

  • 経営戦略研究部 竹田哲郎

平成16年11月から、日本道路公団が管理する全国の高速道路で『ETC深夜割引』が始まった。午前0時~午前4時の間に高速道路を利用するETC車が対象で、通行料金が3割引きになる。利用者として通行料金が安くなることは大歓迎であるが、このサービスの恩恵は直接の利用者にとどまらない。割引料金を目当てにして夜間利用に切り替える人が増えれば、昼間の混雑緩和が進む。また、料金が下がることにより、一般道路から高速道路に切り替える人が増えれば、一般道路の混雑緩和が進み、沿道の騒音も低減する。このように高速道路の夜間割引には、さまざまな効果が期待できる。本稿では、首都高速道路公団が行っている夜間割引実験の結果から、夜間割引の効果を紹介する。

首都高速道路公団の夜間割引実験の概要
首都高速道路公団では、現在、夜間割引実験を行っている。22時~午前6時の通行料金を10%~30%割り引くサービスを導入した場合の各種影響を測定・評価するものである。実験期間は平成16年4月27日~平成17年3月31日(※1)で、同公団の東京線、神奈川線を通行するすべてのETC車が対象になる。

夜間割引は昼間の混雑緩和、一般道路の混雑緩和に効果あり
実験の中間取りまとめで、いくつかの効果が明らかになった。
 

《効果1》 昼間利用から夜間利用への転換が促進
⇒ 昼間の混雑が緩和
《効果2》 一般道路利用から高速道路利用への転換が促進
⇒ (1) 一般道路の混雑が緩和
   (2) 沿道の交通騒音が低減

夜間割引利用者へのアンケートによれば、約7%(東京線:6.6%、神奈川線:9.5%)が「昼間利用(6時~22時)から夜間利用(22時~6時)に転換した」と回答している。その結果、実験前と比べて、ETC車のうち夜間利用台数が21%増加したのに対して、昼間利用台数はわずか(-0.1%)ではあるが減少した。

また、同アンケートによれば、夜間割引利用者の約12%(東京線:12.1%、神奈川線:9.5%)が「一般道路から高速道路に転換した」と回答しており、その結果、高速道路と並行する一般道路で旅行速度(※2)が最大3.9km/h向上し、騒音が最大3db低減した。

以上のように、首都高速道路の夜間割引実験では、いくつかの効果が証明された。条件は異なるが、日本道路公団の深夜割引においても同様の効果が期待できる。今後、ETCの普及が進めば、効果はさらに大きなものとなろう。

(※1)当初計画では、平成16年4月27日~平成16年11月1日までであった実施期間が、約5ヵ月間延長された。

(※2)ある区間について、区間の距離を走行に要した時間で割ったもの。所要時間には、信号や渋滞などによる停止も含む。

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