外資も注目し始めた物流のアウトソーシングと3PLの新展開

2004年4月16日

  • 新規産業情報部 村田素男
日本の物流業界は長い間外資系企業との競争とはほとんど無縁であった。国際輸送を担う航空フォワーダーや船会社は国際競争に晒されてきたが、売上の太宗を占める国内で完結する物流業務については、これまで外資が入り込む余地がなかった。

しかし、最近の物流業界の動きを見ると、外資系企業が国内物流分野に参入する例が現れた。「貸倉庫業」を専門に国際展開する米国の不動産開発会社プロロジスと、英国の物流会社エクセルである。プロロジスは日本での業務を2001年に業務を始めてから急成長しており、既存の倉庫2棟を買収、2003年までに5棟の「物流センター」を新築し、日本通運、良品計画、ヤマトロジスティックス等が専用倉庫として利用している。2005年にまでにさらに5棟がオープンする予定である。一方でエクセルは、富士通の物流子会社である富士通ロジスティックスの全株式を買収することで04年2月に基本合意した。これによって、エクセルは富士通の企業内物流を一手に扱うことになる。

外資2社の進出に共通するキーワードは「アウトソーシング」である。物流のアウトソーシングは1990年前後から包装、検品、検針、値札などの作業から始まり、2000年前後からは大手企業から物流センターの運営を丸ごと受託する業務が急成長している。プロロジスの場合は物流施設、エクセルは企業内物流のアウトソーシング業務である。プロロジスは日本の倉庫業界に斬新なビジネスモデルを持ち込んだことになるが、エクセルのケースは日本における既存の物流業務に切り込んだことになる。ごく小さな変化ではあるが、その意義は大きい。

アウトソーシングが進んでいる背景には、(1)企業会計における資産の時価評価などに端を発する「不動産本位経営」から「持たざる経営」への変化、(2)国際競争の激化と長引いた不況によるリストラで企業内物流部門が売却対象となるケースが2003年末から相次いでいること、が挙げられる。プロロジスやエクセルのような商機に敏感な外資企業に加えて、物流専門の投資ファンドも立ち上がっており、国内物流業務のアウトソーシングを推進する力となろう。

米国では、アウトソーシングの進化形である3PL(サードパーティ・ロジスティクス)が物流業の受注額のうち推定で60-70%を占めている。3PLは、受注会社が荷主の物流コスト削減を契約期間内に達成する提案を行い、受注会社がその削減幅の一部を手数料として受け取る仕組みである。また、通常は受注会社がアセットを持たずに企画と管理に専念し、実際の物流業務を「下請け」に出すのが特徴である。日本でも2000年代に入ってから、独立系のベンチャー企業を中心にこうした形態が出てきた。

日本の物流業界は過去10年間ほぼ一貫して縮小傾向にあったが、アウトソーシングや3PLは成長し続けており、今後も取扱額が拡大するとみられる。この分野は物流のフロンティアであり、本来は豊富なノウハウを持つ外資やしがらみのないベンチャー企業や参入しやすい分野である。除々にではあるが、外資やベンチャー企業が日本の物流業界を活性化してゆくことが期待されよう。

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