2016年12月21日
サマリー
◆コーポレートガバナンス・コード運用2年目となる2016年株主総会シーズンにおいては、多くの企業においてコーポレートガバナンス・コード対応に伴う機関設計の変更を含む取締役会の設計の見直し、株主との対話を意識した招集通知における工夫等が見られた。
◆また、株主総会における議決権行使においては、低ROE企業に加え、社外取締役が2名未満の企業の経営トップの取締役選任議案に対し反対票が集まっている。経営トップの取締役選任議案に対しROE基準を導入する機関投資家が増加していることに加え、本年2月株主総会からISSが経営トップの取締役選任議案における社外取締役基準を2名以上に引き上げたことが影響している。
◆多くの企業においてコーポレートガバナンス・コード対応が一巡し、「形式的な対応」が一定程度進んでいるが、「実質的な対応」はこれからの課題とする企業も多い。2017年6月株主総会シーズンに向けては、より株主利益向上を目指す経営を意識した「実質的」なコーポレートガバナンス体制、そして具体的な「行動(成果)」が求められる局面に入りつつある。
◆「実質的」なコーポレートガバナンス体制の構築において鍵となるのは、形式的なガバナンス体制の構築で十分であると思考停止せずに、「どうすれば取締役会において株主利益を最大化できる議論・意思決定ができるか」について、取締役会全体で議論し続けることである。その際に、コーポレートガバナンス・コードにおいても求められている「取締役会評価」であり、「役員トレーニング」が重要な役割を果たすと考える。
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