<実践>コーポレートガバナンス
シリコンバレー流、日本上陸 議決権種類株式(Dual class structure)を用いたIPO

アリババ、マンUは、なぜニューヨークに上場したのか?

2015年3月26日

  • コンサルティング・ソリューション第二部 コンサルタント 小阿瀬 達彦

サマリー

◆Google、Facebook、LinkedIn、日本でもお馴染みのウェブサービスを手掛ける米国企業である。これら企業には、本社をシリコンバレーに構えていることや、技術開発力を強みに急成長を遂げたテック系ベンチャーであることの他に、資本政策の面でも共通点がある。それは、上場株式について経営者らの保有する株式よりも議決権が少なく設計されていることである。日本市場においても2008年に同スキームが解禁され、2014年3月には日本で初めて議決権の少ない株式を発行する企業のIPOが行われた。

◆議決権の少ない株式の上場が頻繁に行われている国(米国、カナダ等)と、同スキームを禁止している国(ドイツ、中国等)があるが、近年、企業側のニーズもあり、シンガポール、イタリア、香港など新たに同スキーム解禁への動きがみられる。

◆米国では、様々な業種で規模の大小を問わず、同スキームでの上場事例があるが、過去5年間でみると、テック系ベンチャーの上場が多い。特にテック系ベンチャーにおいては、創業経営者が継続して企業経営に携わることが長期的な企業価値の向上に繋がる必然性が高いと考えられることから、同スキームでの上場が投資家への説得力を持つ。

◆日本では、同スキームの資本市場に与える正負の影響を考慮し、特別な上場審査基準が設けられており、米国と比べコーポレートガバナンス等の観点に配慮した制度となっている。日本においても、同スキームが、テック系ベンチャーによるイノベーションの一助となることを期待する。

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