菅野沙織クリック!アジア

第5回 肌で感じる「情報」を収集

2010年8月9日

サレンバ キャンパス

インドネシア大学は、ジャカルタ市内にあるサレンバ・キャンパスとジャカルタ―ボゴル鉄道沿いに広がるデポック・キャンパスから成る。これほど対照的な雰囲気のキャンパスを持ち合わせている大学は、私が今まで海外で見た大学ではほかにないかもしれない。

インドネシア大学
メインキャンパス

インドネシア大学は1850年頃にオランダの医学学校として設立された。160年の歴史を経て今、インドネシアのトップ大学の座を不動のものにしている。学生が4万人、教員が4,800人、ジャカルタ市内と郊外、二つのキャンパスを持つ教育のお城なのである。インドネシア大学は国立総合大学であり、医学部、法学部、数学および自然科学部、心理学部、経済学部など、合計12の学部から成っている。大半の学部は、学士から修士、博士までの課程を持つ。学位取得に必要な年数は、学士(Sarjana)は4年間、修士(Magister)はプラス2年、そして博士(Doktor)は、さらに3年間の勉強をする必要がある。
インドネシアでは、教育省が管轄する国立と私立の大学があるほか、宗教省の管轄するイスラム大学も存在している。それに、日本でいう「大学」には、Universities(大学)と、総合大学より専門性の強いInstitute(インスティテュート)の、二つのタイプがある。

心が和む交通手段

このところインドネシアに関係した仕事をしているのだが、この国への出張の回数が増えていくにつれて、現地で経済調査と直接関係のないバラエティに富んだ情報が耳からも目からも、そして空気に触れる皮膚からも、「感触」という形に姿を変えて入ってくる。その情報は、いずれ、カントリースタディーという専門に不可欠な「感覚」に変わっていき、情報を選別するリサーチャーの能力を高めてくれる。リサーチが始まってから日が浅い国の場合に、前の経験と知識にマッチする情報があると、パズルのパーツがより早く全体像の適切な位置に収まって、その国の理解が早いペースで深まっていく。この経験を何度味わっても、覚える感動は毎回変わらない。

そして、この教育制度のように、インドネシアには旧ソ連の制度に近い部分があることに気がつく。今回、その共通の部分のキーワードは、インスティテュートであった。私も、「モスクワ スティール・アンド・アロイ インスティテュート」の物理化学部を卒業している。名前からも推測できるように、この大学はもともと鉄鋼業省の所属大学で、リサーチャーからエンジニアまで、鉄鋼業に必要な人材を育成する大学であった。総合大学の卒業生と比べて、インスティテュートの卒業生は「ジェネラリスト」より「専門家」の色が濃いけれど、専門分野が狭い場合に就職先の範囲が狭まることもある。反対にインドネシア大学のような総合大学は、「理論」科学に強いはずだ。そんなことを思いながら、私は、300ヘクタールにわたって広がっている、ケンブリッジ大学と京都の哲学の道を合わせたような雰囲気を放つデポック・キャンパスを眺めた。

ジャカルタの交通事情

いまインドネシア大学のメイン・キャンパスであるデポック・キャンパスは、ジャカルタ市内のサレンバ・キャンパスと対照的で、高級なゴルフコースをも連想させるような、池も林もある敷地内に広がっている。歩くと授業に間に合いそうもないので、構内にバスも走るし、バイクのレンタルもできる。このキャンパスは、インターネットアクセスが充実しており、図書館の建築スタイルは、「知識のお城」に見える。快適な環境に感動し、キャンパスを後にする。デポックからジャカルタに向かうローカル電車がやってきて、扉があるはずの場所が奇跡的に落ちない若者で溢れている光景を目にして、現実に戻る。
「昔」と「今」そして「未来」、アジアとヨーロッパ、ITC整備とその設備を使う人の扉のない電車での通勤や通学、複雑なものを上手に持ち合わせるインドネシアは、ますます面白い!

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。

お問い合わせ

コンサルティングに関するお問い合わせは大和総研が承ります。

お問い合わせ

コンサルティング

コンサルタント

セミナー