菅野沙織クリック!アジア

第3回 アジアのニュースのなかで、気になったことについて

2010年5月26日

5月にアジア関連で一番気になったニュースは、インドネシアの(元)財務大臣のスリ・ムリヤニ氏の辞任である。国際金融危機の余波を防止するための策の一つであったはずの、中堅銀行への救済資金をめぐって、インドネシアでは政府と議会の対立が数か月間続いていた。当時財務大臣だったスリ・ムリヤニ氏は自らにかけられた違法行為疑惑に耐え続けることに疲れ、辞任を決めたとの報道もあった。

インドネシアの改革派として知られ、優秀なエコノミストであり、世界の注目を集めるスターであった彼女は、今度、世界銀行の3人いる専務理事のうちの1人に任命されることになった。

インドネシア経済における、より効率の高い経済体制を目指す改革の重要性について、国際コミュニティーの意見は一致している。米国への留学を経て欧米社会に通じるやり方を実施してきたスリ・ムリヤニ氏は、インドネシアの経済発展の一つのシンボルであった。スリ・ムリヤニ氏の支持者であるインドネシア人の友達は、新しい、世界銀行の理事の職について「誇りに思う」と言った。彼女の才能が国際舞台に大いに生かされることに、私もまったく疑いを持っていない。

スリ・ムリヤニ元財務大臣の後任は誰になるか、インドネシアに注目している人なら誰でも気になることである。インドネシアのマスメディア報道によれば、次期財務大臣は政治家ではなく、専門家から任命される。しかし私は、次の財務大臣に選ばれるのが政治家か専門家かということよりも、その人は男性か女性かということに興味がある。

個人的にはその人はできれば女性であってほしいと思う。まったくの勝手な思いだが、一人のビジネスパーソンとして、そうなってほしいと願う。

スリ ムリヤニ 前財務大臣の母校である
インドネシア大学キャンプにて

政治とビジネスの世界の「基本ルール」は、どうみても、いまだに男子が遊んで鍛えられるサッカーのようなチーム・プレイのルールに近いものである。ママごっこをして育つ女子とのバイタリティとメンタリティーが異なる。そのため、男性世界で成功したいと思えば、せめてその世界のルールを身につけて、そのルールに従って頑張っていくしかない。当然のことだが、男性の世界で成功する女性の努力は並々ならぬことである。それに、成功した女性のなかで、ママごっこをして育ち、女性らしさを守りきって成功した人は、とても少ないように思われる。もちろん、政治やビジネスに成功した女性が増えれば増えるほど、その世界がやがてより多くの女性が活躍できるような環境に変わり、政治とビジネスのあり方ややり方は今と違う形になるであろう。しかし、それまでの道のりは長い。

だからこそ、スリ・ムリヤニ元財務大臣のような、素敵な女性でいながら政治や経済世界のスターでもある人に、永くいてほしかった。

インドネシア担当になってから、スリ・ムリヤニさんのファッションまで、彼女のファンになった私は、今回のニュースを聞いて少しさびしい気持ちになった。「今度こそ、ジャカルタで買い物する時間ができたら、スリさんのファッションに似たものを買おう」と思う楽しみが、今となっては、なくなってしまったからである。

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