菅野沙織クリック!アジア

第2回 インドネシア語の「謎」を解きながらニュースを読む

2010年4月30日

私は、数年間ロシア経済の調査をしていた間に、ある便利なものの存在に気づいた。それは、ロシアの主な新聞の電子版である。つまり、勉強している国の新聞に毎日目を通せば現地にいる人の感覚が芽生えてくることに気づいたわけである。その発見を何度か、現地のロシア人の専門家や友達と話して確かめたが、間違いなく、その国を知るための効果的な方法である。

そしてアジア調査が業務になってからも、この方法を再び役立てようとした。幸いに、世界中の多くの新聞は今インターネットで見られる電子版を出しているから、インドネシアの新聞もあるはずと、私は意気込んだ。とはいえ、言うまでもなく、インドネシア語ができない者は英字新聞を活用するしかない。
実はインドネシアニュースを発信している名物の英字新聞がある。外国に対する情報発信に制約があったスハルト大統領時代、1983年にできた”The Jakarta Post新しいウィンドウで開きます”。今も、インドネシアの日常をキャッチするための大変便利なメディアである。


ジャカルタ証券取引所にて取材中

そこで、先日、昨年12月のインドネシア出張のときから気になっていた一つのトピックについての記事を見つけた。気になったトピックとは、今年1月1日に公式に発効されたASEANと中国との自由貿易協定(ASEAN China Free Trade Agreement -ACFTA)のことである。この自由貿易協定の発効により、ASEANと中国との間の貿易や投資がより拡大される見込みである一方、インドネシア側は、中国製品に比べて競争力で負ける国内繊維産業などへの影響について懸念を抱いていることが、現地の人の話を聞いてわかった。今年1月に、その協定対象の一部産業について、今後インドネシア政府が実施延期を正式に要請する可能性もあるとの報道もあった。最近の状況についてフォローアップを試みたところ、「SBYは、ASEAN中国自由貿易協定の影響から国内企業を守る約束をした」"SBY promises to protect local firms from ACFTA impacts"(The Jakarta Post,04/08/2010))との記事に出会った。
―"SBY"ってなんだろう。どこの組織だろうか?
と目に留まったタイトルの謎を解こうとした。その略語の元はスシロ・バンバン・ユドヨノ(Susilo Bambang Yudhoyono)大統領であることがわかったとき、「うん、格好いい」と思った。他には、RIという略語もあって、それは、Republik Indonesia 、つまりインドネシア国家を示す言葉?記号?である。インドネシア関係メディア情報を見ると、インドネシア人は、略語が好きなことに気づく。しかし、略語のなかで、簡単に解けないものもある。例えば、先週、インドネシア財務省が発表している統計データを見たときのこと。いくらインドネシア語の辞書を引いても出てこない財政関係の「頑固な」略語があった。その意味がわからないと財政の数字を正しく解釈できないと思い、必死に解決方法を探したが、結局、インドネシアに詳しい先輩と東京にオフィスのあるインドネシア中央銀行のエコノミストの力を借りることになった。

しかしそれも結果オーライ!なぜなら、その頑固な略語のお陰で、インドネシアの言語文化への関心が高まった上に、先輩とのコミュニケーションが深まり、インドネシア人との交流のきっかけもできた。やはりその国のことを勉強するのが、その国のいろんな人と仲良くなるには一番の方法だと、思い至った次第である。

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