地域・パブリック
障がい者スポーツの未来―ソチから東京へ

2014年3月12日

  • コンサルティング・ソリューション第一部 コンサルタント 川名 剛

ソチ・オリンピックに続き、ソチ・パラリンピックが3月7日に開幕し、日本人選手も多くのメダルを獲得している。パラリンピックの試合を見ると、障がい者というよりも常人を超えたパフォーマンスが展開され、選手の努力と人間の可能性に目を見張るばかりである。このような姿を見るとき、パラリンピックの種目の一部をオリンピック種目として健常者・障がい者の区別なく行えないかという考えが浮かぶ。

例えば、日本人が活躍しているチェアスキーは、「座る」という行為ができれば車椅子の利用者か否かに関係なく参加できるはずのスポーツである。スキー板1本というのは特殊な形態に見えるが、モノスキーという1本で滑るスキーもある(モノスキーは両足を固定するので、板の太さは通常の倍あるが)。もちろん、障がいの内容や程度によっては障がい者のみで競技するのが適切な種目も多いけれども、それらもオリンピックの各種目の中の一競技と位置付けることは十分可能である。それができれば、オリンピックとパラリンピックを同時ないし一体として開催することも考えられよう。

障がい者スポーツは障がい者のリハビリを出発点としているが、パラリンピックの歴史を紐解くと、それはリハビリの延長から競技性の高いスポーツへの発展過程に位置付けられる。それは競技者自身の希望でもあった。当初はオリンピックと関連付けながらもまったく独立して行われていた国際障がい者スポーツ大会は、ソウル大会で初めてパラリンピックの名でオリンピックの競技会場を使って連動して行われ、2000年のシドニー大会の後は、「オリンピック開催国は、オリンピック終了後、引き続いてパラリンピックを開催しなければならない」とされるに至っている(※1)

オリンピックとパラリンピックの同時開催には、日程、競技施設、選手村の規模等の課題もあるが、現在のオリンピック憲章のオリンピックイズムの基本原則には、人間の尊厳、人権としてのスポーツ活動、あらゆる差別の否定が含まれている(※2)。スポーツ競技としてのパラリンピックの種目が健常者も行えるスポーツとして広がり、オリンピック種目として健常者も障がい者も参加できるようになれば、両者の理解が深まるだけでなく、「スポーツ」の観念も広がり、人間の可能性をより探求する機運が高まるのではないか。2020年の東京オリンピックでその一端でも実現すれば、東京大会は歴史に残る大会となろう。

(※1)日本障害者スポーツ協会「パラリンピックの歴史
(※2)IOC, Fundamental Principles of Olympism

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