企業経営
2030年、激減する中核人材への大いなる期待

2015年12月15日

  • コンサルティング・ソリューション第二部 主任コンサルタント 柳澤 大貴

1.20%も激減する中核人材人口

労働力人口の減少は日本の企業にとって最重要課題の一つである。多様な視点から諸策が論じられているところだ。今回注視した内容は「中核人材の減少」に関するインパクトである。組織の中核人材の数がどれくらい減少し、そのための対策はどうすればよいかという考察である。本稿では中核人材の年齢を35歳~49歳と定義し、その人口の推移を俯瞰した。図表1のとおり、2012年の中核人材人口は2,296万人である。2030年にはその数は481万人減少し、1,815万人となる。2012年比で約20%減少する未来像が浮かび上がってくる。

図表1 2030年の中核人材人口

企業における中核人材はいわゆる業務推進のリーダーシップを発揮する人達である。組織の長として部下をマネジメントする、あるいは高度な専門能力を発揮して画期的な企画を立案するタイプの人材である。企業価値を大きく左右する人材だ。その人口の減少がほぼ確定している。この事実を認識した上で考察を進める。

2.2030年の中核人材のプロファイル

2030年に中核人材になる層のプロファイルはどのようなものであろうか。図表2のとおり2030年の中核人材は2003年~2017年頃に社会人になった、あるいはこれからなる層である。2015年時点の年齢は20歳~34歳である。

図表2 中核人材のプロファイル

その多くが就職氷河期を経験し、賃金が伸び悩むデフレ経済の中で育ち、若い時から老後に備えて貯蓄もする価値観を持つ。消費はコストパフォーマンスを重視する。そこで興味深い発見がある。コンサルティングの現場でクライアントに「最近新商品やイベントの企画は低価格志向の内容が多くありませんか」と質問する。そのとき次のような答えが返ってくる場合が多い。「言われてみれば確かにそのとおりです」。これは現在の20歳~34歳の層がデフレ経済の中で育ったことが影響していると考えられる。決して企画立案能力が不足しているのではない。これまでの育った環境や経験がそうさせているのではないか、という仮説が成り立つのである。

3.中核人材への期待

仮説が正しいとするならば2030年の中核人材に期待することは2点に絞られる。

  1. 中核人材人口の20%減少を補うための労働生産性の向上
  2. 高付加価値の商品・サービスの企画立案

①は主に時間当たりのアウトプットを増やすこと、②は主に商品・サービスの高価格へのチャレンジを想定する。

中核人材人口の減少という課題の解決に向けて、具体的な目標設定や行動計画を練る以前に是非とも実行していただきたいことがある。それは「思い込みを消す」という思考回路のイノベーションである。難しい課題に取り組もうとするとどうしても心の奥底から「どうせ無理」というかすかな声が聞こえてくる。やがてそれは顕在化し、改革を阻む阻害要因となる。難しい課題の解決には「過去の常識にとらわれない」という新しい思考回路の醸成が不可欠である。過去を否定する必要はない。未来への思考回路を変えるだけである。今の若年層は優秀である。学生時代もよく勉強し、ITツールも自在に使いこなす。素質は申し分ない。知恵とツールを活用し、労働生産性を20%高めれば要員不足を解決することが可能だ。さらに商品・サービスの価格を10%アップできれば、プラスの成長を期待できる。そのために筆者も含めた過去の世代は、これからの中核人材が活躍しやすい土壌作りに貢献することが義務であろう。

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