企業経営
企業にとって「周年」は最大のチャンス

2014年1月29日

  • 経営コンサルティング部 主任コンサルタント 林 正浩

昨年創業40周年を迎えたセブン-イレブン・ジャパンや東京ディズニーリゾートの開業30周年イベントに沸くオリエンタルランドなど、経営の節目としての「周年事業」を通じてステークホルダーとの絆を再確認する企業が目につく。

「周年事業」は組織固有のDNAを見つめ直すきっかけとなる。「周年」は、自社の未来と可能性を見つめながらのプロモーションが可能となる最大のチャンスイヤーともいえるだろう。実際、経営コンサルティングの現場でも「周年事業」の一環として新たな経営ビジョンを策定するケースが増えている。

帝国データバンクが昨年12月5日に発表した「周年記念企業」調査によると2014年に創業若しくは創立からの節目の年を迎える企業、いわゆる「周年記念企業」は全国で12万2,237社。同社の企業概要データベースに登録されている144万社に対する割合は約9%にあたる。このうち上場会社は279社を数える。100周年の藤森工業や三谷商事、50周年の銀座ルノアール、40周年のユニクロ(ファーストリテイリング)などが名を連ねる。

周年事業は多岐にわたるが、大きく以下の8つに分類される。

  1. ビジョナリー・意識改革型
    継続企業としての歩みを振り返ると同時に次なる50年、100年を見据えて経営ビジョンを新たに制定あるいは改訂する、CIを刷新するなどの取り組みが代表的だ。中期的な経営計画のバックボーンとなる経営ビジョンはトップマネジメントと従業員のベクトルを一つにするための重要なツールといえる。
  2. 戦略的マーケティング型
    いわゆる4P(Price、Place、Product、Promotion)の見直しがこの範疇に入る。「周年」を契機に次なる「周年」を見据え、市場戦略を見直し経営計画や組織体制の整備の基礎とする。競合状況や事業環境の変化を先読みしつつ上記「ビジョナリー型・意識改革型」をより戦略的具体的に展開する。
  3. イメージアップ型
    周年事業の一環としての企業広告やPR誌の発行などが「イメージアップ型」に該当する。企業グループの認知度向上を目指すこうした動きには他にもイベント協賛や出版物の刊行などがある。
  4. 組織活性化型
    経営ビジョンの具現化としての抜本的な組織デザインの見直しや各種社内制度の制定などが例として挙げられる。「ビジョナリー型・意識改革型」の周年事業を企業活力充実の観点から展開する。
  5. 販売促進型
    周年記念セールや各種キャンペーンがこれに該当する。デイリープロモーションの範疇を超えた活動を志向する場合が多い。セールスコンテストや特別リベートなども含まれる。
  6. リレーションシップ重視型
    周年事業の一環として取引先や株主などステークホルダーとの関係強化を図る取り組みが「リレーションシップ重視型」である。レセプションや記念シンポジウムの開催などが該当する。
  7. CSR型
    より社会貢献に軸足を置いた取り組みがこの「CSR型」に分類される。文化活動と福祉活動が想起される。具体的には文化交流事業の促進や育英基金の創設、福祉車両の寄付などが挙げられる。
  8. セレモニー型
    「販売促進型」に近いがより謝恩色の強い周年事業といえる。代表的な取り組みとしてはご招待キャンペーンや各種記念イベントの開催が挙げられる。

「周年事業」というと日刊紙に全面広告を打ち、社史を編纂し、記念セールを開催する等が想起されよう。しかし企業グループを取り巻く事業環境を長期スパンで見据え、社業を見つめ直す新たな機会と考えれば「周年事業」の可能性は更に広がる。

重要なことは、狭義のプロモーション機会ととらえることなく上記8つの取り組みを立体的重層的に組み合わせ「周年事業」をデザインしていくことだろう。

その際、キーメッセージで8つの施策をバインドすることが強く求められる。各施策を通じて何を伝えたいのか、特にどのような点でステークホルダーに期待されたいのかを明らかにすることが「周年事業」の第一歩であろう。そうした意味では「ビジョナリー型・意識改革型」に分類される施策を通じてのキーメッセージの炙り出しが重要である。炙り出したキーメッセージを橋頭保に統合的な発想を持って「周年事業」における自社独自のストーリーラインを組んでいく。例えばこんな具合だ。

「ビジョナリー・意識改革型」施策でキーメッセージを抽出、そのキーメッセージを企業内部で展開するエンジンとしての「戦略的マーケティング型」「組織活性化型」施策で企業活力を充実させる。加えて「イメージアップ型」「販売促進型」の各施策で充実を志向する企業活力自体を外部に強く押し出す。一方「リレーションシップ重視型」と「CSR型」は単発ではなく「ビジョナリー・意識改革型」で推しだすキーメッセージにリンクさせ施策同士を有機的に結びつける。

「3本の矢」によるアベノミクス効果で勢いづく日本経済。円安により恩恵を享受する輸出産業のみならず内需型産業にも明るさが戻りつつある。「周年事業」をジャンピングボードに企業グループの更なる飛躍を目指してみてはいかがだろうか。

【参考】
・2014年「周年記念事業」調査 (2013年12月5日 帝国データバンク)

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