M&A
企業価値評価の論点

2011年1月19日

  • 事業再編コンサルティング部長 間所 健司
企業価値を測定する方法として大きく分類すると3つあげられる。(1)コストアプローチ、(2)マーケットアプローチ、(3)インカムアプローチである。
コストアプローチの代表的な手法は「純資産法」である。しかしながら、多くの上場会社の市場株価がPBR(株価純資産倍率、株価/1株当たり純資産により計算) 1倍を割り込んでいる市場環境では、理論上はともかく、実際には用いにくい現状にあるといえる。なぜならば、仮に同じ純資産額の上場会社と非上場会社があったとすると、PBRが1倍を割り込んでいる上場会社の方が安く買収できてしまう可能性がある。
マーケットアプローチの代表格は「マルチプル法(類似会社比較法)」である。マルチプル法は事業内容などが類似する複数の上場会社の株価指標をベースとする方法であり、比較する株価指標としてPER、EV/EBITDAなどを一般に用いて計算する。基本的には算定機関における類似会社の選定ポリシー、異常値の判断ポリシーによる違いが出るに過ぎない。一方で、通常は前記のような財務数値を用いることがほとんどであるが、なかには加入者数(顧客数)や拠点数、営業所数などといった財務数値以外の経営数値が慣行として用いられている業界もある。
インカムアプローチの代表的な手法である「DCF法」は、M&Aにおいてもっとも一般的に用いられる方法になってきている。DCF法の結果に大きな影響を与えるのは、(1)予想収益(予想キャッシュ・フロー)、(2)割引率(期待収益率)、(3)継続価値(Terminal Value)の3つである。評価結果で注意すべきは、予想キャッシュ・フローが高成長の会社、割引率が低い会社(業界)の場合によくあるが、全体価値に占める継続価値の割合が異常に高い結果が出たときである。当該会社の成長ステージにもよるが、精査が必要なことは言うまでもない。
いずれにしてもM&Aにおいては、ひとつの手法に固執することなく、さまざまな手法も用いて多面的な比較・分析をすることで適正な買収価格が導き出されるということである。

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