M&A
PMIがM&A成功のカギを握る

2009年2月12日

  • 事業戦略コンサルティング部長 間所 健司

昨年末から続く世界的な経済危機のなか、M&Aが急速に冷え込んできている。とはいえ全くなくなったわけではなく、逆にこれを好機ととらえ、企業の収益力強化や企業再生の方法として積極的に活用しようという動きもある。特に足元のマーケット環境において、買い手側は比較的安く買収ができる(あるいはできた)と錯覚しがちである。M&Aが失敗したとなると、マーケットの信頼、従業員の士気、取引先の信用などに重大な影響を与える。M&Aにおいて重要なことは、買収してから失敗したと思わないよう、事前にシナジー効果(相乗効果)の把握・検証・分析をすることである。

シナジー効果といわれるものには、営業、販売などの収益拡大や開発、調達、製造、物流などのコスト削減といった事業から直接得られるものと、総務、財務、人事、システムなどの本社系コストの効率化によるものとがよくあげられる。

その一方で、同時並行的にこれらの想定されるシナジー効果を阻害する要因についても検証する必要がある。加えて、シナジー効果の測定だけでなく、M&Aの買収額を何年で回収できるかという分析も肝要である。

このようなM&A後のシナジー効果の規模やシナジー効果を阻害する要因について事前に分析し、その後の統合計画を策定することをPMI(Post Merger Integration:直訳で「買収後の統合」)と呼んでいる。PMIにより事前に把握・検証・分析を行い、阻害要因に対する対策を講じておくことで、買収後に発生する様々な問題を回避することができるのではないかと思う。

特に歴史が古く、企業文化が異なる会社同士の場合には、人事労務面やシステム面での統合が困難を極めることは容易に想像できる。シナジー効果を確実にするために、統合後の経営戦略の策定は欠かせない。統合後の1年目は何をするのか、3年目は、5年目は、といったマイルストーンを事前に定めておくことは重要である。

わが国のM&Aにおいて拙速のあまり、デューデリジェンスやシナジー効果の分析をなおざりとする傾向がまだある。M&Aに当たっては、専門家による支援・助言を得ることで、少しでも成功へ導く努力を怠るべきではない。PMIの良し悪しが最高のシナジーを得、企業価値を最大化する鍵となるのではないだろうか。

◆関連資料リンク:『戦略的M&Aにおけるシナジー効果の意義』

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