M&A
M&Aと企業価値評価

2008年10月1日

  • 事業戦略コンサルティング部長 間所 健司

わが国においても好不況に関わらずM&Aやグループ再編が活発化してきている。M&Aやグループ再編における、企業価値測定の方法としては、(1)純資産法(2)マルチプル法(3)DCF(Discounted Cash Flow)法が広く知られている。

純資産法は対象会社の純資産をもとに測定する方法で、資産から負債を差し引いて求める単純なものである。資産をいかに時価評価するか、隠れた負債がないかがポイントになる。

マルチプル法は株式市場に対する「相対価値」を測定する方法である。具体的には、対象会社と事業内容等が類似する複数の上場会社のPER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)などの株価指標から対象会社の企業価値を計算する。最近では、EBITDA(利払前税引前償却前利益)も用いられている。類似会社の選定いかんにより、株価に大きな影響を与えるため、その選定を慎重に行うことがポイントになる。

DCF法は将来獲得するCF(キャッシュ・フロー)から対象会社の企業価値を測定する方法であり、将来CF、割引率(期待収益率)、継続価値(CF成長率)が企業価値のバリュー・ドライバーである。DCF方式ではこの3つのバリュー・ドライバーの想定によって企業価値が大きく変わる。適正かつ実現可能性のある将来CFの予想、妥当性のある割引率の適用がポイントになる。

このように企業価値評価には多くの方法があるが、M&Aにおいてはマルチプル法とDCF法で相互チェックを行なうことが一般的となっている。測定結果がマルチプル法とDCF法とで大きく乖離した場合は「将来CFは実現可能性があるか」「割引率は妥当か」「類似会社の選定は適正か」など多面的な検証を行なう必要がある。

米国のサブプライム問題等に端を発した世界的な株安の波を受けて、わが国の株式市場も低迷している。マルチプル法による企業価値が下がっている中、理論的にはDCF法による価値はマーケットに左右されないため、将来CFの見通しが変更されない限り、企業価値は大きく変わることはない。その特徴からマルチプル法による企業価値とDCF法による企業価値の間のかい離は拡大している。つまり将来CFが見込める会社をマルチプル法で割安に買える可能性がでている。こうしたことを考えると、潤沢なキャッシュを有する企業や資金調達が可能な企業にとっては、今まさにM&Aの絶好のチャンスであると言える。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。

お気に入りへ登録

この記事を「お気に入りレポート」に登録しておくことができます。

このレポートのURLを転送する

  • @

お問い合わせ

PDFファイルの閲覧にはAdobe® Reader®新しいウィンドウで開きますが必要となります。お持ちでない方は、アドビ システムズのウェブサイトから無償ダウンロードができます。
なお、Adobe® Reader®のインストール方法は、アドビ システムズ ウェブサイト新しいウィンドウで開きますをご覧ください。

Get Adobe® Reader®

コンサルティング

コンサルタント

セミナー