経済・ビジネストピックス
バイオエタノールの活用、直接混合かETBEか

2010年1月13日

  • ビジネス開発部 瀬越 雄二

1.公正取引委員会が示した意見

公正取引委員会(以下、「公取委」)は平成21年7月3日、「ガソリンにおけるバイオマス由来燃料の利用について」と題する意見を公表した。これは、改正京都議定書目標達成計画(平成20年3月28日閣議決定)が言及する二酸化炭素削減のひとつの手段として輸送用燃料を含むバイオ燃料の普及促進に関する業界または行政の動きについて独占禁止法(以下、「独禁法」)上の考え方を示すものである。具体的には、バイオエタノールの混合方式は、環境省が推進しているE3に代表される直接混合方式と石油連盟(石油元売各社)が推進するETBE方式の二つがあるが、公取委は、(ア)石油連盟が直接混合方式に関する問題点を繰り返し表明したこと、(イ)石油元売各社が直接混合方式向けに原料ガソリンを供給することに消極的であること、(ウ)サービスステーション(以下、「SS」)で直接混合方式による製品が販売されていないことを指摘した上で、以下のような独禁法上の考え方を示した。第一は、「石油連盟が各石油元売会社に対して直接混合方式による製品の製造又は販売に協力しないようにさせること及び各石油元売会社が共同して直接混合方式による製品の製造又は販売に協力しないことを決定することは独禁法に違反する行為である」、第二は、「石油連盟が二つの混合方式の一方についてだけ否定的な見解を表明し続けることは・・・各石油元売会社の間に、一方の混合方式を採用しないとする共通の認識を醸成するおそれもある」、第三は、「石油元売会社が・・・自社系列SSにおける直接混合方式による製品の取扱いを一律に禁止することは、それが仮に各石油元売会社が個別に判断した結果であったとしても、ほとんど全ての石油元売会社が同様の判断をする可能性が極めて高いこと・・・等を踏まえれば、直接混合方式による製品の製造・販売をする事業者が販路を確保することを困難にするおそれが高い」として独禁法に抵触する可能性を指摘した。

2.バイオエタノール導入の現状

政府は、上記の改正京都議定書目標達成計画において、2010年度までに輸送用燃料におけるバイオ燃料を50万キロリットル導入することを目指し、その内21万キロリットルの導入を石油業界に要請した。石油業界は当該導入目標を達成するためにバイオエタノールの国内外からの調達又はバイオガソリンの製造販売に向けた準備を着々と進めている。他方、石油連盟以外の動きは、上記のような石油業界の動きを受けバイオエタノールの出口戦略の検討が困難なことから、非常に限定的な動きとなっている。例えば、南西石油(親会社はペトロブラス。石油連盟非加盟)による宮古島でのE3実施、日伯エタノール(ブラジルのペトロブラスからのエタノールの輸入販売)によるブラジル産バイオエタノールの輸入計画、あるいは、大手商社による海外におけるバイオエタノール生産事業等、である。いずれもバイオエタノールを海外で製造し輸入しても国内に販売先がないことから、バイオエタノールの製造販売事業は限られているのが現状である。

3.今後の展望

このような状況の中で、最近、アジアにおけるバイオエタノール生産に幾つかの新しい動きが見られる。いずれも極めて先行投資的な動きであるが、ある大手商社及びドイツ企業によるベトナムでのバイオエタノール製造の試みがそれである。タイ、インドネシア、フィリピン等に次ぐ、第二の波になる可能性がある。ベトナムでは、2007年および2008年にバイオ燃料の開発を促進する首相決定あるいはバイオ燃料の原料栽培を促進する省令等が整備され、インフラ整備が急速に進んでいる模様である。宮古島で展開されているE3が近い将来、石油元売会社との連携により日本全国で展開されると、バイオエタノールの国内生産に限界がある現状から、海外からの本格輸入が不可欠となる。ブラジルだけでなく、地理的に近いアジア諸国からバイオエタノールが輸入できれば、生産者(アジア諸国)と消費者(日本)の双方に大きなメリットが生まれる。その際には、原料作物の栽培等の技術移転も大きな課題となろう。

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