アジアンインサイト
続 マンゴーの話

2015年7月9日

  • アジア事業開発グループ コンサルタント 吉田 仁

皆さんはミャンマーのマンゴーを召し上がったことがあるだろうか?セインタロン種が有名な品種のひとつで、濃厚な香りと甘みが特徴で非常に美味である。当アジアンインサイトでも、これまでにミャンマーのマンゴーを取り上げて絶賛している(※1)。マンゴーはミャンマーの代表的な果物だ。農業灌漑省の“Myanmar Agriculture at a Glance 2014”によると、果物の中で最も多く栽培されているのがマンゴーである。2013年度の全国の栽培面積は約9.6万haに及び、2位のパイナップル(同2.4万ha)や、3位のナツメ(同2.2万ha)らを圧倒する。

日本でもマンゴーは人気であるが、その多くはメキシコ、フィリピン、タイなどからの輸入である(下図参照)。残念ながらミャンマーからの輸入はない。その理由はマンゴーにはウリミバエ、ミカンコミバエ種群が寄生するという防疫上の観点である。ウリミバエやミカンコミバエはマンゴー果実に卵を産み付け繁殖し、果実への食害を及ぼす。フィリピンやタイも一般的にはウリミバエやミカンコミバエ種群の対象地域であるが、農林水産省の告示により一定の条件(生産国の植物防疫機関での検査、植物防疫証明書の取得、生産国での蒸熱消毒など)を満たしたものは輸入可能である。そこで日本政府もミャンマーからのマンゴー果実輸入に向けて協力を実施し、2013年5月の第4回日ミャンマー農林水産業協力対話では、マンゴー果実の植物検疫の協力を表明した。

2014年のマンゴー果実輸入量(トン)

ミャンマーの防疫体制を強化し、生果実を日本へ輸出できるようになるには少々時間が必要となろう。現時点で民間企業がマンゴーを輸入するためには、ドライフルーツやピューレ、ジュースなどの加工品としなければならない。しかし、ミャンマーのスーパーマーケットを確認した限り、ミャンマー産の加工品は塩や砂糖などの味を添加されたものに限られ、素材の良さを引き出すようなものはなかった。一般的に品質の低いものが加工品に利用されると言われている。他にも、マンゴージュース(果汁100%)はミャンマー製がなく、タイ製のものであった。2014年11月19日付のNNAによると、東京でのミャンマー食品商談会(※2)に出展した優良な地場企業 ミャンマー・ゴールデン・プロデュース社はドライマンゴーを製造しており、安全基準のひとつであるGMP(適正製造基準)を取得予定であるほか、マンゴー・ピューレの輸出を検討しているようだ。

ミャンマーの美味なマンゴーを日本で食することができるように、このような地場企業と協力し、日本企業がミャンマーのマンゴービジネスに参画されることを切に願う。

(※1)2013年11月14日付アジアンインサイト「マンゴーの話
(※2)同商談会へはミャンマー商業省が選定した食品企業9社だけが出展した。出展企業の水準の高さがうかがえる。

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