アジアンインサイト
中国における水ビジネス市場 ~その市場特性と市場規模~

2008年10月29日

  • ビジネス開発部 瀬越 雄二

中国の水資源は、現在、枯渇と汚染に直面している。枯渇については、かつて、黄河上流には4000もの湖があったが、現在では半減しているという。水資源の枯渇は河川の断流を引き起こし、断流は流域に深刻な水不足を招いている。汚染については、2004年時点では、中国の7大水系(長江、黄河、珠河、松花河、准河、海河、遼河)では、総水量の40.9%が「飲めない水」、30%は「やや汚染が進んだ水」であり、比較的良質な水は29.1%に過ぎない。また、上記の水系の汚染は深刻な海洋汚染を引き起こしている。中国では、経済発展が進んだ地域での水不足、発展が遅れた地域における豊富な水資源という二極化現象が見受けられる。このような水資源の地域格差を是正する試みも動き始めている。「南水北調」計画がそれである。つまり、水資源が豊富な広東、広西、四川、湖南、雲南などから水資源が不足している准河および海河等の三大流域に水を運ぶ巨大国家計画がそれである。政府発表によると、2005年末現在、3憶1200万人の農村人口は安全ではない水を飲んでいるという。第11次五カ年計画(2006 - 2010)では、1億6000万人の農村人口への安全な水の給水が計画されている。しかし、農村部における給水事業は国家規模での投資が必要となる。また、生活排水と産業排水という問題の解決が不可欠であることから、技術力を有する外資企業の参画が重要な要素となろう。

中国企業統計によると、中国の上水道事業者数は2476で、ほぼ我が国の地方公営水道事業者数(2449)に匹敵する。営業収入は約9782億円相当(670億人民元)で、我が国の地方公営企業の約3分の1レベルである。これを国営・政府系事業者(1999)に限定して見ると、営業収入はさらに低く、我が国の地方公営企業の約4分の1レベルであり、最終損益は継続的に赤字となっている。建設部が公表する水道事業関連統計は中国全土をカバーするものではなく、城市(都市部の意。以下同様。)のみを対象としていることから中国の水道事業の施設全体を把握することはできない。同統計によると、城市における水道普及率は1995年から2005年までの間に、58.7%から91.1%に上昇している。城市以外の地域における水道普及率は公表されていない。また、下水道事業も、前述の上水道事業と共通する国家統計上の問題が存在している。負荷率(汚水排出量 / 処理能力)が恒常的に100%を超える背景には、汚水処理場を経由しない河川への直排式を採る下水道が多く存在していることが予想される。



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